廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

第13回 明日香「橋 vol.Ⅱ」


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明日香「橋 vol.Ⅱ」(1994)

(ネットで拝借した画像がサイン入りだったのですが、手元にあるものはサイン無しです)

川崎のブックオフにて290円で購入。アーティスト名「明日香」、潔い。ジャケを見る限り読み方は「アスクァ」?やっぱ潔くない。この方全く知らなかったのですがジャケ写が同時期の今井美樹っぽいですね…。んでタイトルが「橋 vol.Ⅱ」とシンプルかつどことなくVaporwave味を感じます。この明日香さん、1982年にヤマハ・ポピュラーミュージックコンテスト(ポプコン)で優秀曲賞を獲得、同年には彼女の代表作「花ぬすびと」で世界歌謡祭グランプリを受賞しデビューしたようです。経路がまんま中島みゆき。しかしリリース物は極端に少なく、本作含めて純粋なオリジナルアルバムは5枚だけでした。そのうち本作は「橋シリーズ」と銘打ったミニアルバムの連作の2作目。と言っても2で終わりなんですが。尚この明日香さん、2013年にお亡くなりになっています。彼女のホームページが現存しているので諸々気になる方はご参照下さい。

http://www.asqua.com/index.html

 

https://youtu.be/-CfaxtAxLOo

明日香「花ぬすびと」

本作収録曲ではありませんが歌唱映像がありました。こんな感じの声です、が本作中では何故かも~っと甘くなっています。後述。

 

で、内容ですが「悪くない」です。屈託のない笑顔から中村あゆみ(今井はどこ行った)系のハスキーボイスで元気ソングまみれという想定もしてましたが全体的に穏やかな曲調です。当然ながらピアノが前面に出てますよね。シティポップ皆無、バブリー感も薄いですが全6曲というコンパクトさ故にそれほど飽きのこない作品となっています。編曲者が5を除いて「明日香プロジェクト」になっているのが良い。以前紹介した木屋響子の「Kyoko Sound Laboratory」っぽい。

1「夢 追い求めて」は小気味良いラテンメロウ。シンセのパーカッションがスーパーでお惣菜を入れてあるプラ容器くらい軽いな。彼女の芯のないヌメヌメした歌唱がどこか色っぽいです。今井優子の妹、彩裕季をバグらせた感じ。3「誰もいない部屋」はトラックだけ聴けば本作中では唯一のミディアムダンスチューン。ですが歌詞はタイトルから察せる通りのウジウジ系なので、詞・曲・ボイスの三竦みギャップが面白い。演歌みたいなタイトルの5「ふるさと列車」、急に舌足らずな歌い方になるな。そのせいか純情な歌詞の癖にヤラしさが増してしまっています。オルゴールみたいなチャラチャラした入りやアコーディオン?の色付けが余計な気が…。でもまぁ良いですよ。

安価だし声はそこそこ好みな感じだし、それだけでめっけもんなんですが、アルバムとしてトータルを考えたときには1と3が収録されていて良かったな、という程度のアルバムでしょうか。510円の棚にあったものを買ってしまってたとしたらガッカリしてたかも。ポプコン枠でリリースされたベストアルバムが渋谷のTSUTAYAにあるみたいなので気が向いたらレンタルしてみようかと思います。