廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

第13回 明日香「橋 vol.Ⅱ」


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明日香「橋 vol.Ⅱ」(1994)

(ネットで拝借した画像がサイン入りだったのですが、手元にあるものはサイン無しです)

川崎のブックオフにて290円で購入。アーティスト名「明日香」、潔い。ジャケを見る限り読み方は「アスクァ」?やっぱ潔くない。この方全く知らなかったのですがジャケ写が同時期の今井美樹っぽいですね…。んでタイトルが「橋 vol.Ⅱ」とシンプルかつどことなくVaporwave味を感じます。この明日香さん、1982年にヤマハ・ポピュラーミュージックコンテスト(ポプコン)で優秀曲賞を獲得、同年には彼女の代表作「花ぬすびと」で世界歌謡祭グランプリを受賞しデビューしたようです。経路がまんま中島みゆき。しかしリリース物は極端に少なく、本作含めて純粋なオリジナルアルバムは5枚だけでした。そのうち本作は「橋シリーズ」と銘打ったミニアルバムの連作の2作目。と言っても2で終わりなんですが。尚この明日香さん、2013年にお亡くなりになっています。彼女のホームページが現存しているので諸々気になる方はご参照下さい。

http://www.asqua.com/index.html

 

https://youtu.be/-CfaxtAxLOo

明日香「花ぬすびと」

本作収録曲ではありませんが歌唱映像がありました。こんな感じの声です、が本作中では何故かも~っと甘くなっています。後述。

 

で、内容ですが「悪くない」です。屈託のない笑顔から中村あゆみ(今井はどこ行った)系のハスキーボイスで元気ソングまみれという想定もしてましたが全体的に穏やかな曲調です。当然ながらピアノが前面に出てますよね。シティポップ皆無、バブリー感も薄いですが全6曲というコンパクトさ故にそれほど飽きのこない作品となっています。編曲者が5を除いて「明日香プロジェクト」になっているのが良い。以前紹介した木屋響子の「Kyoko Sound Laboratory」っぽい。

1「夢 追い求めて」は小気味良いラテンメロウ。シンセのパーカッションがスーパーでお惣菜を入れてあるプラ容器くらい軽いな。彼女の芯のないヌメヌメした歌唱がどこか色っぽいです。今井優子の妹、彩裕季をバグらせた感じ。3「誰もいない部屋」はトラックだけ聴けば本作中では唯一のミディアムダンスチューン。ですが歌詞はタイトルから察せる通りのウジウジ系なので、詞・曲・ボイスの三竦みギャップが面白い。演歌みたいなタイトルの5「ふるさと列車」、急に舌足らずな歌い方になるな。そのせいか純情な歌詞の癖にヤラしさが増してしまっています。オルゴールみたいなチャラチャラした入りやアコーディオン?の色付けが余計な気が…。でもまぁ良いですよ。

安価だし声はそこそこ好みな感じだし、それだけでめっけもんなんですが、アルバムとしてトータルを考えたときには1と3が収録されていて良かったな、という程度のアルバムでしょうか。510円の棚にあったものを買ってしまってたとしたらガッカリしてたかも。ポプコン枠でリリースされたベストアルバムが渋谷のTSUTAYAにあるみたいなので気が向いたらレンタルしてみようかと思います。

玉石混淆な収穫まとめ その10

家に籠りっきりで暇な今こそ玉石混淆レビュー。10回目記念ということで今回こそは名盤に絞りましたよ。導入ゼロでいきなり始めていきます。

 

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光岡ディオン「アクエリアム」(1991)

大田区の図書館にてレンタル。ハーフタレント・コメンテーターとして活動する光岡ディオンの唯一のアルバムです。彼女の夫はThe Boom宮沢和史、息子も芸能界で活動中。

本作、先日Twitterでななきさとえさん(元MAHALIK HALILIのボーカリスト。先日ソロ2ndアルバム「パンドラの呪文」がCDで再発しました。おめでとうございます)にオススメしていただいた盤でございます。廃サロンのシシリアのアルバム「香港ハーバーライト」の記事をご自身のTwitterにてご紹介下さったななきさんにお礼をしたところ「本作と聴き比べると面白いですよ!」と。調べるとどちらにもななきさんがご参加されていまして…。どうやら2作の参加陣の被りが多いらしく、楽曲に関しても「香港ハーバーライト」「ちょっと待って下さい」の2曲が被っています。シシリアのアルバムが大変お気に入りな身からすると「これは聴かねば!」な案件。即図書館サイトで取り寄せたという訳です。というか、このジャケなら聴かない手はないでしょう。トロピカル過ぎて現地(どこ?)の歌謡盤が霞みそうなインパクト。俗名盤の匂いがビンビンします。トレンディエスノな雰囲気とはまた違った濃さ。

一聴したところ、全体的に常夏の穏やかさ漂う、BPM抑えめ(ディスコ歌謡など皆無)の平和なユートピアアイランド作品という印象を受けました。安西史孝氏による全曲アレンジが俗と上品を優しく往き来している。光岡の声は天真爛漫でキュートな、悪く言うと「ガールズポップ歌わせていたら中庸で収まって終了かも」な危うさのある質感。しかしながらハーフタレントという特性?を活かした南国コンセプトな本アルバムの中では、声量の加減が良いのか心地よく聴けます。技巧的でない故の無垢さが正しく作用している。

いきなりチャチャチャで始まるのがいいですね。1「マーメイド・チャチャ」は家にいながらにして「南フランスの小島のマーメイド」気分よ!という可愛らしい楽曲。ななき氏による一戸建てファンタジアな作詞がなんとも「らしい」というか、穏やかに変で最高です。ななき氏は2「南極のエンジェルフィッシュ」でも作詞を担当しています。こちらは水族館デートの曲ですがキュートの中に潜む独特な女の子の価値観が味。ガールポップライクな能天気さを纏う歌詞にボッサなアレンジが「正しい」です。タイトルの文言がBメロに一回だけ登場する曲好きなんですよね…。ハワイアンカントリー(初見の概念)な3「ブルー・ムームー」、タンゴなのにエキゾチックな4「Somewhere in Time」を経て次は野村義男(あのよっちゃんなんですかね…)作詞の5「太陽san-sanパラダイス」。アレンジ自体は奇をてらわない正統ハワイアンですが歌詞は一言で「エアコン大好き」というもの。タイトルどこ行った?でも愛嬌あるなぁ。フーミンのデビュー曲じゃないよ!な7「ズビズビズー」は森山加代子という歌手のカバーなんですね。安井かずみが「みナみカズみ」名義で日本語訳。タイトルを何度も繰り返して歌唱しているという体裁の楽曲ですが、どうにも架空のノスタルジックを誘う南国恋慕な好カバーです。アコーディオンの作用?

 

https://youtu.be/i0EBXF8ZoY8

森山加代子「ズビズビズー」

折角なので元のカバーをどうぞ。

 

件の9「香港ハーバーライト」ですが、アレンジはシシリア版よりも豪勢でガチャガチャしています。「オールドスクールチャイナ」なベースは同じですがそこそこ印象変わりますね…。光岡の歌唱も他の楽曲よりも押さえ目で終盤にもってこいな加減になっています。シシリア版を聴いている身からすると、無名なオリジナル楽曲なのにも関わらず二人も歌ってることから優しい曲調も相まって「チャイナの唱歌かな?」と錯覚してしまぃす。ラストを飾る11「ちょっと待って下さい」もシシリアと共通で、これもまた良い。シシリア版のカタコト具合はエキゾチズムの権化で素晴らしかったですが、ボーカルの違いでグッと来方が変わりますね。こちらの方が伸びやかで、シシリア版の迫真さが抑えられていることから聴きやすい。シシリア版、理由も証拠もない「ごめんなさい」感があるんですよね、男だからかな…?以上の2曲、南国ナイズなアルバムの中で異質なはずがメロウものとして溶け込んでいるのが意外。

いやぁ、良いアルバムでしたね…。ワールドミュージックブームの最中に生まれた日本産エスノ歌謡はこれまでの私のディグの中でもちょこちょこ散見されてきましたが、ジャケの完璧さとそれに反して楽曲の圧の程よさから考えるとかなりの名盤だと言えます。ここまでの作品を自力で見つけられなかったのは惜しいところですが、出会えて良かったです。改めてななきさん有り難うございました。

 

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パウロ・セザール・トリオ「ボサノバ・ブリージン~アイドルのバイブルをボサノバで」(1991)

砧のブックオフにて290円で購入。タイトル通り70-90年代の女性アイドル歌謡ボサノヴァアレンジ作品です。ボーカル無しのインストもの。ヒット曲の成れの果てのひとつである伝統芸能こと「ボサノヴァアレンジ」ですが、素材がJ-POPではなくアイドル歌謡であったことやシャープな安西水丸のようなタッチのジャケに惹かれ手に取ってしまいました。カクテルが題材のジャケ、良いですよね…。ブックレットを開くと曲の解説やクレジットを差し置いてキュラソ(リキュール)の解説や「ボサノバ・ブリージン」なるカクテルの作り方が載っていました。こういう「音楽と併せてみてはいかが…」なオマケ、大好きです…。

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パウロ・セザール・トリオはネット検索の限り本作とクリスマスソングのアレンジアルバムを発表しています。トリオを率いるパウロ・セザールは小野リサと活動を共にしていたキーボーディスト、パウロ・セザール・ゴメスのことかと思われます。あとはアレンジャーとしてアニメの劇伴の仕事が多い荒川敏行宮崎慎二が参加。それ以外の情報はあまり分かりません。

えてして馬鹿にされがちなボサノヴァアレンジという手法ですが、本作はなかなかクオリティが高いと思います。演者が匿名でないことから自信が窺えなくもなかったのですがここまでとは。シンプルながら貧相でもない楽器・音数、無理なく聞き流すことも浸ることも厭わないアレンジ具合。「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」という漫画の存在を思い出すまでもなく、カフェよりもダイニングバー以上の場に対応可なクオリティを全編通して保っていると思います。2「MUGO・ん…色っぽい」7「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」のような、原曲が打ち込みまみれな楽曲がそつなくボッサ化されているのは凄い。サポートのフルートによる妙でしょうか。楽曲によっては「JAZZとボサノヴァの違いって…?」という問いに発展するようなものもありますが、単一の作品として聴くには問題ナシ、ですかね。あ、でも8「艶姿ナミダ娘」は入りが完全にフラメンコ。別にいいけど。選曲は聖子・明菜が3曲、ミポリンと百恵が2曲、その他は一曲ずつです。捻り無しの順当なところかと。

カバーだと意識せずにふとした時に聴いたとしたら「普通に良いボサノヴァだなぁ」と思ってしまうほど無理のない作品。私は初めて見つけて購入しましたが、さして入手困難ということもなさそうなので安価でしたら買ってみてもいいかと思います。結構愛聴盤になりそう。


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ペク・ジヨン「Baek Ji Young 2集 Rouge」(2000)

こちらも砧のブックオフにて290円で入手。韓国の歌手ペク・ジヨンのアルバムです。本国ではメジャーなアーティストっぽいですが日本ではそんなにかな?私も存じ上げませんでした。のっけから少し脱線しますが、最近のブックオフの290,510円CDコーナーで邦楽をディグろうとすると、「J-POP あ行」の前に「アイドル」「ヴィジュアル系」「K-POP」が構えてますよね?前2者はここ10年以内の新しめな盤が殆どなので好み的にスルーするのですが「K-POP」のコーナーはそうでない2000年前後の盤もごくたまに潜んでいるのでウォームアップも兼ねて一応目を通すようにしています。もちろん韓国ディスコ歌謡「ポンチャック」目当てです。本作も色味のどギツいジャケから漂ういかにもな2000年感に打ち込みの重めなポンチャックが収録されているのでは、と軽くYouTubeで試聴した後に購入。聴き流してみたところ、そこそこの名盤でした…。

とはいえ全体的にはこの時代のK-POPと似たり寄ったりな作風なので特筆すべきところが少ないのも事実。そもそも私自身K-POPに明るい訳でもないんですが…。ここで触れておきたいのはやはりリードチューンである3「Dash」と5「Sad Salsa」。どちらもPVが制作されていますが、音にしろ映像にしろポンチャックの掟を遵守していて良い。3は泣きメロな仕組みなものの打ち込みの圧が気持ちよく、おまけに間奏でKONTAっぽいサックスが小気味良く吹かれています。ポンチャック(その意識が本作に込められている訳はないのでしょうが)にサックスが介入しているのを初めて聴きました。PVは安っぽいスパイ映画オマージュ?嫌いじゃないですこういうの。

 

https://youtu.be/X6cYhLZuLhI

ペク・ジヨン「Dash」

 

一方5はタイトル通りサルサポンチャック。いやーこちらもシンセが重い。どっしんどっしん言ってます。廃サロンの中で「打ち込みまみれで格好いい」というような評価をしてあるものは大体本作のようなレベルのものだと覚えておいください。やっぱり俗っていいなぁ。PVではベリーダンスの衣装?で踊り狂っていますね。

 

https://youtu.be/7dl9srk--dc

ペク・ジヨン「Sad Salsa」

 

尚本アルバムには件の2曲の「Club Cut(「ハードコアリミックス」のような意味合いだと認識しています)」も収録されておりお得。ビートがマシからマシマシになっているのでなにか物足りない時にいいですね。

その他触れてない収録曲もダンスものが多くて大満足でした。ブックオフで入手したアジア盤の中だとかなり当たりの部類です。YouTubeで大体聴けるので必ずしも所有している必要はないかもな本作ですが、どんな形であれ聴いてみていただけると面白いと思います。もっと気が向いたらポンチャックにも触れてみてね。


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「商売繁盛」(1995)

荻窪ブックオフプラスにて290円で購入。おなじみのニューエイジ・ヒーリングレーベル「Della」から発売された「マインドコントロールサウンド」シリーズのひとつです。本シリーズ、「集中力アップ」だとか「実力発」「プラス思考」等、潜在能力や感情に作用するテーマのものが多いんですが、一部極端に俗っぽい効果をもたらす作品も潜んでいるようです。「開運」「禁煙」等は知っていましたが、本作はずばりタイトル通り「商売繁盛」。ネット上に詳細な情報がないのは勿論、ソニーウォークマン用音楽管理アプリ「Music Center」に取り込んでもCD情報が登録されていませんでした。今までどれだけニッチな作品でも大抵のCD情報が登録されていたのですが…。アーティストや曲目も全く分かりません。

ブックレットを開きつつ聴くという段階に至るまで「聴く者が営む商いが繁盛するようになるのか…」と勘違いしていたのですが、一聴してそのあからさまなミューザック感を堪能して「あ、客に聴かせんのね」と気づきました。案の定ブックレットには「聴くと何か買いたくなります(概略)」との記載が。Dellaからリリースされているニューエイジ作品はどれも素晴らしいですが、こちらはしっかりジャスコテックしているように感じます。と言ってもオマージュとしてのジャスコテック作品と比べると当然実用的で牧歌的要素が強いのも確かで、決して大袈裟な展開のものではありません。スクリューさせればきちんとMallsoft化すること間違いなし。ちょっと昔の中流層向けスーパーマーケットにいる気分になれますよ。七福神ジャケに抵抗が無ければ見つけ次第拾ってあげてください。

 

蛇足ですが。この間仕事帰りに自由が丘のブックオフに行ったんですけど、あの店舗にしては久々に何もめぼしい物が見つからず虚ろな目で棚を見つめていました。そんな時中村善郎というボサノバアーティスト(恥ずかしながら知りませんでした)の90年代のアルバムが目につきました。何気なしにケース裏を見るとクレジットに木村恵子の名を発見。数曲にデュエットで参加しているようです。慌ててYouTubeで試聴してみるとやはり「Style」やケルカンでお馴染みのあの木村で間違いない。まー今日の収穫はこんなもんかな、と一応地元の図書館サイトで検索を入れてみると「所蔵あるじゃん…」。ディグでこれほど白ける瞬間も他になかなか無いかもしれません。隠れ名盤が2000円以上するのを発見したときくらいですかね。勿論タダで借りられてラッキー!なのは違いないのでしょうが、それ以上に「辛うじて一枚」収穫として持ち帰れるかもという時に出鼻を挫かれるあの感じ。結局全てが時間の無駄だった、で終わってしまうんですよ。入荷の入れ替わりがさして無い内に同じ店舗に2度行ってしまったときにも同じようなことが起こりうりますね。なので最近は交通費を費やしてでも少し遠めの地に赴いてディグをすることも増えてきました。無粋…。

ではまた次回お会いしましょうー。

玉石混淆な収穫まとめ その9

さて今回も玉石混淆レビュー始めていきます。Yu-koh以来ディグ欲が増進された気があって、こないだは中央線沿いのブックオフを、今日は世田谷奥地のブックオフをがっつり攻めてしまいました。お陰で積ん聴き盤の増えること増えること。やっぱり聴く時よりもディグ自体が楽しいっていうのはあるんですが、その割合をいい加減にしたいですね。買ったのに聴かないのは勿体ないですよ。と、自分に言い聞かせて5年くらいは経つんですが…。

話すことが特に無いのでコロナが与える廃サロン的ディグへの影響を。↑の通り中古屋には相変わらず足を運んでしまうのですが、図書館には全然行かなくなりました。現在都内の図書館の殆どでは有事(とか言ってはいけませんね)に対応した開館方法を採っており、基本返却と予約資料の受け取りしかできません。館内資料をディグるのは禁止。それでも普段から予約資料をごっそり受けとるのが利用方法の基軸な私なので実際それほど影響ないはずなんですがね。なんですが、最近なんだか図書館には足が向かなくて…。無論コロナの心配をしているのではなく、どうにも今図書館ディグの限界を感じてしまっている時期なんですよね。暫くは実店舗でのディグをメインでやっていきたいと思います…。今回紹介する盤も全て「購入」したものです!


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HACO「HACO」(1997)

渋谷のディスクユニオンにて500円で購入。HACOは1981年神戸発ニューウェーヴバンド「After Dinner」を率いた女性アーティストです。本作はそんな彼女のバンド活動停止後の米国レーベルから出たソロ作。After Dinnerって勝手にP-MODELやD-DAYの人脈だと思ってたんですが全然違うみたいですね…。バンド自体聴いたことなかったんですが、とにかくこの手のメジャーマニアック盤(?)にしては安価だったので購入してみました。

しかしこれは…アヴァンポップ全開な内容かな?1「Unguarded」は割かしポップで、デジロック化したSPY「女王陛下のチェスゲーム」のような趣だったので「オッこのノリなら純粋に楽しめそうだ」と期待しましたが、2以降はとにかく神妙で重い。打ち込みまみれなニューウェーヴを期待するとちょっと違うかもしれません。HACOのヘヴィな歌唱といいパーカッションやベースのアトランダムな構成といい、Phewや90年代のヒカシューの方が(広域な意味での)ニューウェーヴ界隈の中では近いかも。そう思って久々にPhew「アワ、ライクネス」を聴いてみたら記憶よりも重すぎて爆笑してしまいました。Phewってこんなオバケテイストだったっけ…?

1の他だと4「Sunday Virgin」が雅楽っぽくて好きです。基軸は日本~な音なのにトイ楽器が主張してきたり歌詞に「マカロニウエスタン」が登場したりと、そういうポエトリー楽曲かな?と思わせるような奇曲。

廃サロンディグでこのような「「聞く」でなく聴き込みたい」と思える作品を見つけてしまうと困りものなんですよね。全然次の収穫に着手できなくて…。でも全体的には大満足です。音楽におけるアヴァンギャルドって実は今かなりシーンや大聴衆の趣向から遠いところにあるような気がするんですよね。要するに「今聴きたい・聴いてもらいたい盤とは違う」ってことなんですが…。復権が待たれます。

https://youtu.be/7DEWd9mbbsA

HACO「HACO」


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Yamagata Tweakster「山形童子」(2012)

荻窪ブックオフプラスにて510円で購入。この間初めてこの店舗行ったんですが、いやーデカイですねー。入り口付近を見ただけだと「あれ…ここCDある…?」と不安に駆られてしまいますが奥に進むとしっかり広めのCDコーナーが。嬉々として3枚ほど購入しました。こちらはそのうちの1枚。

「Yamagata Tweakster」は2005年から活動する、Hahn Vad1人による韓国ダンスユニット。ハウスビートのシーケンスをバックにシンセで80'sディスコな味付けをしたシンプルな楽曲ばかりで、オフザケと社会派を横断する歌詞も特徴的。要するに向こうでも色物な存在みたいですね。こちらはそんな彼の日本編集盤。発売直後には来日公演も開催されたようです。

こう言っては難ですが、騙されました…。帯の「80's」「アリラン」「ポンチャック」、極めつけは「コリアンチルウェイブ」の文言に期待し過ぎた~。歌詞が「韓国語という音」としか捉えられない身としては全てを音として聴くしかない訳ですが、とにかく爽やかすぎて毒を感じない。そして冗長。「80's」という時点でBPMに期待してはならないと気づくべきでした。あのー、例えが非常によろしくないのは承知の上なのですが、俗好きなので砂原氏の諸作を聴くと若干物足りなさを感じることがあってその感じを本作からも受けました。作品自体は文句の付け所がないもののフックが無い、のかな…。

逆に言うと「珍妙なシンセウェイヴ」を期待する方にはうってつけ盤なのかもしれません。それほど希少盤でもないはずなので韓国電子音楽インディーシーンに触れてみたい方は是非(このレビュー読んで聴きたがる人がいるかどうかは別として)。がんばれアジア!

https://youtu.be/ktGqteU28hk


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三田村邦彦「OLD/NEW」(1987)

渋谷レコファンにて500円で購入。テクノ系が二作続いたので急に歌謡曲に寄せていきます。言わずと知れた大御所俳優三田村邦彦のCDですが、意外?にも入手困難で、少なくとも私の活動範囲の中でレンタルできるのが文京区の図書館に所蔵のあるベストアルバム一枚のみです。それには昨年訪れたジャスコテックイベント「ジャスコランド」にてどなたかがかけていた最高なブギー歌謡曲「君はパラダイス」や「追憶のサファイア」といったシティポップ寄りの楽曲も収録されていました。三田村の声、地味ながら染みるんですよね。歌謡曲に振り切った新沼謙治のような朴訥としたクールネス。ベストだけでなくオリジナルも1枚くらい聴いてみたいな、とは思っていたのですが、ネット市場だとどの中古盤もやけに高い!(8000円程度の価格設定が散見されます…)なのでジャケのつまらなさ(失礼)は置いといて500円という価格に惹かれて買ってしまいました。

結論から言うと、全体的に舘ひろし系のハードボイルドロック歌謡という趣なので個人的にはあまりお勧め盤とは言えません。社会のはぐれ者の恋物語…な空気が詞にも音にも充満してます。若干色付け程度にシンセが使われる場面もありますが、基本はバンドサウンドでシティポップといえる楽曲もなし。6「アース・ウィンド」は若干ニューウェーヴ擬きかな?と言える程度。あ、7「東京ホームシックガール」の作曲はソロ作やブランニューオメガトライブ(BNOT)でお馴染み新井正人(同姓同名の可能性アリ)です、が、特に特筆すべき点はないです。ストリングスアレンジの中庸な歌謡曲。悪くはないんですけどね。8「IN・じゃ・NIGHT」は作詞で世良公則が参加。世良が参加してるの、かなり本作の世界観っぽい。メジャーロック歌謡でまあまあ良きですが、タイトルはどうにかならなかったんですかね…。本作のリードチューンは2「ロンリーマン」なんだと思います、前述のベストにも収録されていました。伊武雅刀のソロ作「銀座の爆発野郎」とかザ・ヴィーナス「キッスは目にして!」を彷彿とさせる爆裂歌謡でフックはありますがいきなり「真夜中に行きたくなるオンナ」は無しでしょう…笑 聴いててかなりこそばゆいです。

三田村のベストを安価で見つけたら買ってヨシですがオリジナルは慎重にどうぞ、という結果になりました。彼の楽曲自体、YouTubeには必殺仕事人関連のものしか上がってませんので判断しにくいところでしょうが、悪いことは言わないので「君はパラダイス」あたりが収録されている盤を入手することをお勧めします…。


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増渕容子「気持ちをまわして」(製作年不明、80年代後半~?)

錦糸町ブックオフにて290円で購入。出ました、ネットに全く情報のない謎盤です。アーティストは増渕容子、レーベルは「林檎プロモーション」となっております。この会社が曲者で、どうやら当時20歳だった増渕が同年代の友人数名と共に立ち上げた今で言うインディーレーベル。音楽に拘らず、「芸能界のシステム(スカウトからの芸能界入り、金・コネ等)に頼らない、やる気と元気と熱意によって」タレント養成を行うことを目指していたようです。当初はかなり苦戦したようですが、やがて「素人によるプロダクション」ということで話題になり、所属していたきゃんみゆき(沖縄の人らしいですね)というタレントも幾つか仕事を得られたそう。↓がそのひとつですが、ヤバいPVですね…最高。カードがグルグルしてるとこ、病気の時の夢かな…?

https://youtu.be/meSuhXgCStw

きゃんみゆき「すたぁ行進曲」

きゃんのことは置いといて、本作はそんな林檎プロモーションの代表であった増渕によるソロ作。こちらの販売方法がまた変で、投げ銭方式でした。

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↑がブックレットの記載なのですが、要するに盤は無料配布で気に入れば指定の口座に振り込んでくれと。気に入らなければ他人にあげてもいいし、逆にもっと人に勧めたいのであれば振り込みの際所定の用紙に希望枚数を記入してくれれば送るよーとのことです。じゃあ元々本作はどこで配布されていたのか…?彼女が参加したイベントやレコード店なのか、全く分かりません。イベントといえば、YouTubeに上がっている数少ない関連動画の中に林檎プロモーションの原宿ホコ天でのPR活動の動画がありました。こういうところで手売りならぬ手配布してたのかな?

https://youtu.be/WL4sEfnhXOU

林檎プロについては以上です。というかこれ以上何も分からないんです。

 

さて本作「気持ちをまわして」ですが、この昭和~で地味~なアートワークにも関わらず手に取った理由は「ネットに全く情報がない」のも1つですが、何より外枠に関するところを除くクレジットが「シンセサイザープログラム…増渕容子」のみだったことです。「これは早すぎた宅録アイドル盤か!?」とフォーキーなジャケを無視して思ってしまった訳ですね。実際聴いてみるとThe宅録以外の何物でもないんですが、これは自作カラオケ音源に合わせて歌ってる素人レベルと言って差し支えないでしょう…。加納エミリじゃなくてジャガーさんかよ!1「田舎のねずみになりたい」の忙しないパーカッションとヘロヘロのボーカルの化学反応はある意味アイドルソングっぽいですがとにかく歌詞がね…。2「眠れない夜が」、一転なかなか良いかも…?ボサ風なパーカッション(とにかくパーカッションが際立つ作品ですね)にメロウな歌詞と展開。しかし高音が苦しそうだなぁ。曲名で唯一期待していた6「B級レディス」はマーチ調…。買い物上手だけど切ない女の子(OL?)の自虐ソングですが、あえてコミカルな歌唱にしてるのがむず痒いです。それよりは2や7「灯りのともる窓から」のような気取った歌い方の方が「普段歌うまいけど今日は酔っぱらってるからちょっと調子悪いかな?って感じの女の子」とカラオケに来た気分になれてまだ良いのに…。シンセ使いに関しては9「銀の天使」のイントロのズズズッぷりからも分かるように「ジャガーさんよりは牧歌的でないけど特に技巧的でもない」というレベル。勿論シティポップやディスコ歌謡は無し。

当時1人で音楽をやるって今よりも何倍も大変だったんだろうなぁ、ということを痛切に感じました。どこまで彼女の頭の中にあったものを再現できていたのかは察することすらできませんが…。もし彼女がDTM黎明期の現代に活動を開始していたならまた違ったんでしょうか…?そのようなことに思いを馳せられただけでも本作を買った意味がありました。聴きたい方、いらっしゃいましたらお送りしますよ。勿論投げ銭方式で。

 

という訳で、今回は図らずも殆ど「ビミョー盤」ばかりの紹介になってしまいました。これなら「中級」のままで良かったかもな。いや、名盤も結構引いてるんですけどレビューする時期を自分の中で逃してしまうんですよ!すっかり愛聴盤になってしまうとアレコレ認めるのが逆に億劫で…。次こそは少しは名盤を入れた玉石混淆にしたいと思います。では。

玉石混淆な収穫まとめ その8

いつもご愛顧有り難うございます。突然ですが今回より、廃サロンの「中級な収穫まとめ」を「玉石混淆な収穫まとめ」に改題いたします。これに伴い、中級盤(主観ですがそこそこ聴ける盤)の上下に位置する作品もここで紹介する方針に変更します。単純に「名盤を発掘しても長文を認めるのが面倒だから」というズボラな理由によるものなんですが…。どちらにせよ中級の頃から結構な名作を紹介したりもしてたので、今後とも何卒宜しくお願い致します…。

さて、2/22,23に東京・渋谷にて、Local Visionsとlightmellowbuによるジョイントイベントである「Yu-koh β」が開催されました。かつて京都にて開催されていて、その際は「いいなー」と指を咥えてTwitterのTLを見るしかなかったのですが、今回は生息エリア(渋谷に住んでる訳ではないですが)で開催してくださるということで当日まで期待に胸を踊らせていました。しかし実物の本イベントはその期待を大きく超え、さながら怪物のようなスケールでした。

私は2日目のCIRCUS開催の方のみに参戦しました(1日目のあの時間帯は何故かシェリー酒を飲んだりとそれはそれで優美な時間でした)。初actで発表時に騒然となったAOTQ氏のライブ(初音ミクシリーズや「e-muzak」のラインにある楽曲にクラブ対応な歪み・エフェクトを現場でかけていく進行が妖艶でした)を始め、念願叶って観れたwai wai music resort(妹さんであるlisa氏の第一声「よろしくお願いします」が、溜めのインストが一瞬スッと退いた瞬間に発せられたのが格好良すぎた…ライブ自体も勿論至高でした)や、下北Threeの無題イベント以来のTsudio Studio氏(森で暮らすさんを含めたバンドセットが豪勢で、しかもサックスマシマシの「Dragon Taxi」までやってくれて昇天しかけた)等の「ここでしかなかなか一堂に会さないタイムテーブル」なライブの応酬が当然ながら最高でした。更にlightmellowbuのトークでは体操の資料集?に付属のCDや、(そういえば)声優兼歌手だったTARAKOのアルバムを聴いたり、台車氏より「2020年はニュージャックスウィング(初耳)が来る!」との大予想が飛び出したりと…。「知らないCDを直で紹介してもらう時間久しぶりだなぁ」と思いつつかぶり付きで聞いていました。その中でも最も嬉しかったのはやはりイベント題通り「Yu-koh=友好」でしたね。anoutaのお二人、柴崎さん、柴田さん、鯔さん等これまでこの手のイベントで何度か邂逅を果たしている賢人たる方々と久々にお会いしたり、来場前にディグっておいたCDを見せ合ったりできて、音楽に関して「直」でコミュニケーションをとることの気持ちよさを本当に久々に経験しました…(「元アーティストに付く「エッセイスト」の肩書きは鵜呑みにするな」の至言、しかと胸に刻みました)。更に、tamao ninomiyaさん(相互フォローなの気づいてなかった…)や台車さん、はらわたちゅん子さん(前日に吉原・カストリ書房にて開催されていた展示を見に行った時に初めてお会いしてYu-kohでもお話できた)等、SNSでは既知なものの初めて直接お話できた方もちらほら。その他にも一方的に見知った顔ぶれのアーティストやトラックメイカー等の方々が普通に散見され、ちょっと意味合いに語弊ありそうですが良い意味で「業界のパーティー」という印象もありました。時間はあっという間に過ぎてしまいましたがその流れ行く時間はこれ以上なく上質で、主宰の捨てアカさんをはじめ今回のYu-kohに関わった全ての方々に感謝の気持ちで満たされました(私はいち客でしかないですが…)。と同時に「廃サロン頑張らねば」という気概も高まりました。今回も何名かの方々に「「廃サロンで手に取るCD」というブログをやっているながいという者です」と自己紹介しましたが、いつか「あーー、読んでますよ!」みたいな反応があると気持ちいいんだろうなぁなどと思ったり…。動機が余りにも不純ですが、ともかく糞みたいな境遇にあるCDたちをサルベージしていく行為が色んな意味で実る時が来ればいいなと切に願いますね、密やかなlightmellowbuフォロワーとして…。

Yu-kohの余韻に拘泥してしまう今日この頃ですが、中級レビュー改め玉石混淆レビュー始めていきます。


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ポチ!「お気に召すまま」(1992)

渋谷レコファンにて650円で購入。Yu-kohに着く二時間前に入手しました。いきなりちょっと高いですが前々から実店舗で引き当てたいと願っていた盤だったので歓喜しました。

名から判然としていますが、以前VHSをご紹介したビーイングのアイドルユニット「Mi-ke」の二番煎じユニット(あっちがミケならこっちはポチじゃい!という意地でしょう。そういえば美川憲一が名付け親の「タマ」ってのもいたような記憶が…)。高橋摩弥、石塚早織、山下智美という3名のモデルにより結成されました。1stシングルはザ・ピーナッツのカバー「恋のフーガ」で、本作のラストに収録されています。

まずジャケですが、バブリー好事家のツボをビンビンに刺激する良衣装に身を包む3人。左の二人の雑貨屋で売れ残った絨毯然とした衣装はともかく、右の山下の溶けた超合金のような服は何だ?あくまで褒め言葉ですが「気味が悪い」。ブックレットの中では3名とも肩パッドの入ったスーツを纏っているのですが、正直ジャケの衣装の方がインパクトはありますね。ブックレットといえば、この手の作品にありがちな3人のプロフィールも添えられています。それによると高橋はマドンナ、石塚はドリカム、山下はチャゲアス(特にASKA)のファンだそうですが、本作には一切関係ございません。良かった。

で肝心の内容ですが、これ名盤です。名盤だと思ってなかったので尚名盤味が増して聴けました。中庸なガールズポップのようなものを予想してましたがちゃんとハードめなディスコアレンジしてますね。Mi-keの面影を感じつつも同期のセクシーアイドルの楽曲(以前ご紹介したギリギリガールズ等)に見受けられるエッセンスもひしひしと感じられます。何より全体的にBPMが高めなのがいいですねー。雑なハウス歌謡もほとんど皆無ですし。頭の中空っぽでノリノリになれる作品です。1「恋はFiftyFifty」がいきなり凄い。1分にも及ぶ「ハウスデジロックミーツチョップド&スクリュー」(そんなもの存在しません)なイントロは圧巻。しかしながら全体を覆うどこか歌謡チックな進行は流石Mi-ke路線、と匂わせるものがあります。イントロが長いと言えば、ハイスピードダサダサディスコ歌謡な3「危険でごめんあそばせ」もやはり約1分のイントロから始まります。こちらはズンチャズンチャという年寄り臭いリフにギターのフィードバックノイズやジャスコテックなファンファーレ的シンセ音が絡む謎イントロ。感想にも「Dancing Queen」の世界一有名なフレーズや「パイプライン」のテケテケが引用されており、加えて「天まで届く梯子を持ってる男なんていないよね」「お金の成る木を持ってる男なんていないよね」等の「?」な歌詞の応酬。到底「格好いい音楽」からは縁遠いパーツで構成されていますが、あくまでベースが「ディスコ歌謡」なので今聴く分にはこの狙いっぷりが清々しくて何度もリピートしてしまいます。そんなの私くらいのものでしょうが…。4「Eternal Eyes」は本作唯一のスローに聴かせるタイプの楽曲。本作を紹介しているガールズポップもののブログの筆者はこの曲を絶賛していますが、確かにガールズポップの観点で言えばこの4が「唯一聴ける曲」になりそうなもの。他の楽曲がほぼ3名のユニゾンで歌唱されているのとは異なり、本曲は石塚のみで歌われています。彼女は3人の中で唯一ソロデビューしたみたいですね。歌は普通に上手いので聴き入ってしまうのですが、廃サロン的には聴き流してしまうタイプの楽曲。「「バカディスコ歌謡」のアルバムなんだから別に無くてもいいなぁ」と罰当たりなことすら思います。緩急付けるためには必要なんでしょうけどね。ずっと前に何故か聴いた「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラソンシングルのB面で、声優の小野大輔が歌う「ただの秘密」に似ているなぁくらいの感想でした…。(↓で「知らねぇ曲」と「知らねぇ曲」を比較してください)

https://youtu.be/GHC1s2S3ul8

https://youtu.be/TthwZJfwtL0

 

本作を「名盤」と申し上げましたが、ここら辺から早くもダレてくるのも事実。5「Like a Venus」は若干ハウス寄りでC.C.ガールズみたいですし(廃サロンで何度かC.C.ガールズを肯定的に取り上げましたが、なんだかんだ基本C.C.ガールズの曲は良くないです)、6「Sugar Moonが消えるまで」はTRFというティーバッグを三杯分くらい使った後の出涸らしのような印象(爽やかでそこそこ良いですけどね)。8「黄色いRentACar」はやたら音圧の強いハウス歌謡ですがスラップベースが主張し過ぎてて笑ってしまいます。そして大トリである「恋のフーガ」のカバーですが、プログレディスコティック!とちょけたくなる程の高速変調ぶりがキモチワルくてアガります。間奏のどこかで「恋のバカンス」のフレーズが引用されている、とブックレットに記載がありましたがイマイチ分からず…。原曲の戦後歌謡独特のクールネスのネジを少しずつ緩める代わりに高品位なジャンク性が高まっているような、要するにこれまたおバカな魅力溢れる可愛らしいカバー作品でした。1~3曲目のハードな音色が再起されていて一安心。

本作を聴いていると、結局大半をオールデイズ歌謡のカバーに徹したMi-ke織田哲郎その他ビーイングの懸命具合を感じてしまいます。この手のOLノリでオリジナルばっかりは普通に聴くにはキツいや。とはいえ賢くないディスコ歌謡は大好物なので総体的には満足です。2ndが大田区の図書館にあるようで、近々借りに行きます。


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Dream Dolphin「FORCE SOUNDS AND PSYCHEDELIC BEATS:愛の彼方へ」(2000)

三軒茶屋ブックオフにて510円で購入しました。「イルカジャケ=Vaporwave」というイメージの強い昨今なので、90年代にイルカがニューエイジやスピリチュアルのアイコンだったことを忘れそうになりますが、こちらはニューエイジな音ではありません。ずばりトランス・ユーロビート系。Dream Dolphinは女性アーティストNorikoを中心とした日本のハードコアテクノユニットで、具体的には「ハイスピード& アンビエント&ハードコア」を標榜しています。このNoriko、初期は渋谷系チックなスタイルでジャケやブックレットに写真で登場しつつハードコアトランスものを次々に制作していたのですが、数作後にはスピリチュアルに傾倒し始め、制作する楽曲も次第にトランスよりもアンビエントの割合が増えるようになります。アンビエントに関してはあのSUGIZOとのコラボもあり、ネットにも情報が多いことから「界隈」ではそこそこ有名なアーティストなのかもしれません。

そしてこちらは彼女の活動後期に発表された(ほぼ)最後の全編ハードコアトランスなアルバム。2000年前後といえば日本の音楽界でこの手の哀愁トランスが入り乱れていた頃で、駄作も山ほどありましたよね。ですが本作ははっきり言って滅茶苦茶アガります。個人的にゴリゴリなトランスやユーロビートに目がないという理由もありますが、こちらは音数の多さやもったいぶらなさ、パキり(と言うのでしょうか?)具合がとにかく振り切っていて最高。BPMが180近い楽曲もあり、正直これで躍るのは難しいでしょう。かといって頭文字D的な疾走感あるトランスともまた違うような…。まさしく「スピり故のハードコアトランス」としか表現しようのないアルバムです…。特に2「BABE RAINBOW Ⅱ COSMIC MOTHER」がエクスタシーに導いてくれる度合いでは最高です。もしテクノアイドルをプロデュースすることになったらこれを出囃子にしたい…。

Dream Dolphin、調子こいて幾つも作品を集め始めるとキリがないですし(アルバムだけで20枚くらいあります…)全体的には中庸なのでドはまりするのは危険ですが、ネタと本気の間のノリで見かけたら購入してみてはいかがでしょうか。ライト層のVaporwaveオタクたちを騙して高く売り付けるような奴らが現れる前に…。

YouTubeにまともな動画はありませんでしたが、Dream Dolphinのテクノ寄りの楽曲を纏めた動画(↓)がニコニコにありましたのでご参考までに…。

【作業用BGM】Dream Dolphin 好きな曲をまとめてみた -その2- http://nico.ms/sm4531933?cp_webto=share_others_androidapp


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Lio「LIO」(1980)

目黒区図書館にてレンタル。フレンチポップやワールド・テクノ歌謡が「分かる」方には今更?な盤かも知れないのですが、恥ずかしながらこれまでLioの存在すら存じ上げませんでした。「得意じゃないけど久々にフレンチポップものでも聴こうかな…」と図書館サイトで検索をかけた所本作が「フレンチテクノ」なる用語と共に紹介されており、YouTubeで彼女の代表曲「Le Banana Split」のPVを視聴したところ、加納エミリ「ごめんね」のPVの元ネタか…?となるほどローファイな映像で音もモロにあの頃のテクノポップ!これは聴かねばとレンタルしたのでした。

https://youtu.be/bsqLi9LfiwM

https://youtu.be/20DJlV2YstI

Lio、フレンチアイドルの肩書きを持ちますが実際はポルトガル生まれベルギー育ち。テクノポッパー、というかシンセポッパーの大御所バンドTELEXのプロデュースで↑のようなテクノ娘としてデビューします。1stである本作以後、テクノ路線は影を潜め、純にフレンチアイドルとして活動することになるのですが…。

全体的にペラペラのポコポコなサウンドが魅力な本作。何故これまで聴いてこなかったのか…とテクノポップから音楽を本格的に聴くようになった者からすると悔やまれますが「いつまでも聴いていたいか」と問われるとそうでもなく…。チープで湿気ひとつない軽やかなポップさ故の飽きは拭えません。ある意味完成され過ぎている。日本で言うと最初期の中嶋美智代のような…?いずれにせよ「癒し」であることに遜色ありません。

やはりリードチューン「Le Banana Split」が本作をどっしりと支えているのでしょう。もしYMO畑中葉子をプロデュースしていたらこうなったでしょうか…?そんな安直な妄想をしつつ、フーミンと彼女への豪華楽曲提供陣の関係性から生まれた作品たちにも近いものを感じたり。しかしフレンチポップである、という気概からしかこのような楽曲は生まれ得ないのでしょうね。フレンチポップや渋谷系の「らしさ」というものにしっくり来ないまま随分経ちますが、逆にオタク特有の「テクノポップ」の呪縛から解き放たれる日は来るのでしょうか。俗と洒脱の間で揺れ動くもの悲しさ、そんなことを本作を聴きながら考えています…。


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「肩こりスッキリ」(1996)

駒澤のブックオフにて290円で購入。ニューエイジレーベルとしてお馴染みDellaによるリリースものです。肩凝り、現代病(いつから?)の王様として万人を苦悩させていますが、本作を聴けば心身がリラックスして肩こりも治っちゃう!とのこと。やだー、そんな魔法みたいなことって…結果ありませんでした。なーんだ役立たずじゃん、と廃サロンから出て行かないでくださいね…。

本作、「Music of Esthetics」というシリーズの中の1枚で、他にも「素肌美人」「おふろ美人」「便秘すっきり」が存在し、それぞれ本作のようなフリー素材の女性がリラックスしている写真がジャケに使用されています。本作と「おふろ美人」はなかなかサービスショット的で、エマニエル夫人を彷彿とさせますがそんなことはどうでもいいです。

音の方は声を大にして「そこそこ良いですね!!!」と述べておきます。真偽の程はちょっと微妙なのですが、どうやら界隈で「ジャケは知ってるDellaニューエイジ」として有名な「強い精神力を養う」を制作したアーティスト(?)Mitsuhiro氏が手掛けたアルバムのようで、それにも近い中庸(褒め言葉)なピアノ・シンセによるヒーリングをもたらしてくださいます。
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モブキャラと化したロボコップ四人囃子「NEO-N」のアートワークの世界で全力疾走しているね。私も持ってます。

 

強いて言うなれば「強い~」よりもメリハリがなく、眠気をちょうどよく誘発してくれる音作り・構成になっているように感じます。あぁやった…、また通勤時に眠るための音源ゲットだ…などと油断してウトウトしていると5「Light Music」の「ファファファーーン!」というラッパみたいなそこそこ耳障りな音に眠りを遮られます。ここが惜しいかな…。別に起こすところまでやってくれなくてもいいのに…。そこを加味してもまぁまぁ、Dellaらしい真面目で嫌らしいところのない俗流アンビエント作品として重宝しますね。

監修の馬野詠子先生の当時の近影がブックレットに載ってます。ニューエイジものの監修者を見ていつも思うのですが、単純に音楽に関係ない世界で活動してる方が(ヒーリングものとは言え)アルバムに口出しするのって結構難しいんじゃないの?と馬野先生のグイグイ来そうな(失礼)写真を見て思います。

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馬野先生…

Yu-kohに関する前置きとポチ!についてのレビューが長くなってしまったので今回も4枚という少なさで終了します…。紹介していない名盤をまだまだ確保しているのでまた近いうちに…。

中級な収穫まとめ その7+目黒区図書館サイトディグについて

廃サロン的ディグではネットを利用してディグる機会が多々あります。実店舗にて正体不明のアーティストによる作品と遭遇し、彼らについていかに情報がネット上に存在するか、あるいはしないのか(全くと言っていいほどなければそれはそれでソソるものですよね)を確認する行為は言うまでもありません。それに加えて、図書館やブックオフオンライン、駿河屋等の所蔵・在庫の有無を調べることも日常茶飯事です。これはディスクガイドを読んでいたりTwitter等にて気になる盤を見つけた時も行います。「何を今更」とお思いになるでしょうが、現代ディグはかなりの割合をネットによる裏付け(あるいは「裏付けられていない」という事実)に頼ってしまう場合が多いです。そんな中、各種サイトの便利さ・不便さについてどうしても気になってしまうのです。

図書館サイトでCDを探す上で「日本中の図書館サイトが目黒区図書館のようにならないかなぁ」と懇願してしまうほど、目黒区図書館のサイトはえげつないです。目黒区と言えば90年代前後のCD、特に邦楽に強く、これまで数多のディガーの方々が本・ネットでご紹介してきたその頃の無名盤がちょっと信じられないくらい所蔵しています。前回ちょっと触れた原みゆきは1stの「私風景」以外のオリジナルは全て所蔵してますし、トレンディもので私が一番好きな作品である小田育宏「Talk To You」、エレクトーンものの名盤である中村幸代「目の前のにんじん」、中原めいこ久野かおりの各種等…、こちらで音源入手したバブル期シティポップは数えきれません。まして90年代に活躍した著名アーティストの盤なんかは必ず何かしら所蔵していると言っても過言ではありませんでしょう。これには目黒区購入の盤だけでなく「心優しいけどとち狂ったどこかの元ディガー」による寄贈盤も貸し出していることによるもの。「え!このアルバム目黒区にあったのかよ」と思って借りてみるとそのCDには水色の「寄贈」とプリントされたシールが大体の場合貼ってあります。

そんな目黒区図書館のサイトなのですが、何故か各CDの多くのページにCDジャーナルのレビュー文が引用されています。アイドルのアルバムをちょろっと聴いて「顔はカワイイけど声に抑揚がないねぇ~」などとこき下ろしているアレですね。そこには「作詞で○○が参加」というクレジット情報や「打ち込みがなんともアーバン」といった作風に関する情報が紛れていることもしばしば。つまり、そのような文章に含まれるどこかのワードに引っ掛かれば検索した時に結果としてそのレビューを受けた盤が上がってくるということです。例えばこのサイトで「山口美央子」と検索すると、山口が作詞で参加したアイドルのアルバムが二枚出てきます。彼女自身のアルバムは所蔵がないので出てきませんが…。
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また「リゾート」と検索すれば何故か村松健や成田路実「イリュージョン」、金沢朋子「ハウス・ミックス2」等、何の脈絡もない盤がズラズラっと登場します。そういうことです、本サイトの使い方は。出鱈目にそれっぽいワードを打ち込みCD絞り混み検索をすれば、未知のトレンディ盤に出会える可能性があるのです。これってちょっとスゴいよなぁと高校生くらいの頃から思っていました。

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一点の目的(あのCDは所蔵してるかな?等)をもって行われがちな図書館における検索機能ですが、このようなシステムを採ってもらえるとバーチャルディグの場として十二分に役立ってくれますよね。私の廃サロンディグも(本ブログを読んでいただけていればお分かりかもしれませんが)約半分は目黒区の恩恵を受けていると言って過言ではありません。貸し出しに関しても一度に本・CDごちゃ混ぜで20枚まで借りられるしね。皆様も目黒区図書館ディグ、是非お試しください。これだけ語ってアレですが、私は目黒区民でもなんでもありません。

蛇足ですが、逆にブックオフオンライン及びアプリ。アレなんなんでしょうね。憤慨です。いつ開いても重い、とにかく重い。しかも検索機能も融通が効かないというか、「出会い」に乏しいですよね…。ネット注文商品の店舗受け取りができるようになったのはグーですが、もうちょっとサクサク検索できるようにならないと余りにも使いにくい。実店舗行けよ!ってことなのでしょうか…。

 

前置きが長くなりましたが、今回も徒然なディグ戦利品のご紹介です。「中級収穫」とか言いつつ、実は一枚でいち記事書くのが面倒で超お気に入り盤も含めていることをお許しください…。


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木屋響子(Kyoko Sound Laboratory)「See You Again」(1992)

ブックオフ三軒茶屋店にて110円で購入。Kyoko Sound Laboratoryこと木屋響子は1971年生まれのシンガーソングライター兼マリンバ奏者。コロムビアエデュテインメントの元社長である父親の「命令」もあり、本名の木村恭子から始まり、木谷恭子、木谷響羽子、安倍恭子など幾度も改名を繰り返しています。これまでにドキュメンタリーやたまごっちの音楽等を手掛けた経歴があるそうです。本作はそんな彼女のKyoko Sound Laboratoryとしての1st。アーティスト名からもしや…?と察しましたが、やはりなかなかのテクノ(気味)歌謡アルバムです。と言っても彼女が本格的にテクノ化するのはこれ以降のようで、本作はまだ電子抑え目でバラエティに富む作風となっています。ジャケは谷村有美みたいなのに…(廃サロンディグのルールとして「谷村有美大江千里には手を伸ばさない」というものがあります。アレルギーだから)。普段こういったテイストのジャケはまず買わないんですが、Kyoko Sound Laboratoryという名前と110円という投げ売り加減に牽かれて買いました。しかし、これは聴かないと分かんないもんですね。

結論から言うと、バラエティに富んでいることが災いしてどうにも俗にもバラードにも振り切れてない悲しさがあります。良曲が多いだけに少し残念。木屋の声は声優の島本須美にも似た、突き詰めた清純さがあり、バラードはバラードで相応なクオリティに仕上がっていますが、中庸なガールズポップアルバムの一曲ぽいものに過ぎないよなぁという感想。どちらかというと、やはり打ち込みに寄った曲の方が違和が強調されていて良いです。表題曲の2「See You Again」は「5年後のランバダ」というアレンジ。イントロからしてそっくりで、軽やかな南米風打ち込みに乗せて木屋が淡々と別れを歌います。4「ASKA」は安いニューウェーヴチックな高鳴りするシンセと金属パーカッションになぜか民謡的な笛の音が絡み合うスピリチュアル系ガールズポップ。5「TOMODACHI」、これは良い!私「しゃべる!DSお料理ナビ」のBGMが大好きなんですが、それにも通ずる優しいボッサ風に刻まれる柔らかなシンセ。歌詞こそ「男女の友情は…」云々の普遍的なやつですが、相変わらずな淡々としたボーカルとニューエイジボサノヴァの連携がこれ以上なくアンニュイ。TinyPop等と比較するのは強引かもしれませんが「今聴きたい音楽」の一種に該当するのではないでしょうか。6「ELECTRIC LOVE」これまたタイトルド直球なテクノ歌謡が来ましたね~。サウンドのベースはハウスなので序盤は大したことないんですが徐々にギミックが効いてくるいぶし銀的テクノポップマインド。歌詞は元気OL版「Computer Love」といった趣。アウトロで薄れゆく木屋の声に少しずつヴォコーダーのエフェクトがかかっていくのが「妙」です…。「島本須美(風の声)が歌うテクノ歌謡」と思って聴くとグッドかもしれませんね。7「孤独のobjet」はイントロが中森さんちの「1/2の神話」や久宝さんとこの「男」風ですが、例によって淡々とした発声なのでプレーンマフィンのようなガールズポップになっています。本曲に限りませんが、氷を入れた熱湯を飲んでる気持ち。間奏のギターソロが恐ろしくドベタな気持ちよさで、好みっすよこれ。極めつけは10「See You Again(single version)」、先ほどのランバダ風アレンジから一転、アラビアンブギーな謎ミックスが展開されています。90年代の作品ですが、これほど無時代的な音楽も久々に聴きました。前回紹介したKONTAの「otherwise」のDayとNightの違いほど顕著ではありませんが、聴き比べが興味深いです。

本作以外の木屋の作品はジャケがとにかくスピリチュアルに寄っていて聴くのが怖いのですが、この人の声からしてそういう作風に合いそうだなってのも分かります。だからこそ本作のような俗っぽいアルバムの奇妙さが輝き出すようにも思いますね。110円という価格から考えるとかなり面白い買い物になりました…。


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NUU「唄波」(2002)

件の目黒区図書館にて借りました。

唐突ですが、私は2000年代前半のJ-POPにおける過剰なオーガニック感が苦手です。沖縄ブームとかを筆頭にした、俗な癖に有機体を気取っていたあの頃の音楽が結構嫌いです。バブリー歌謡が好きなのがその裏返しなのか、テクノ偏向が先なのか、そこら辺はよく分かりませんが。本作もそのリスニングアティチュードから考えるとスルーしそうなもんなのですが、パーカッションやリズム隊を基調としたカラッカラに乾いた(「オキナワ」が取り除かれた、無国籍な)「離島感」が何故か気持ちよく、愛聴盤、とまで行かないまでも好きな作品でした。NUUは1998年デビューの女性シンガーソングライター。作曲行為を「産曲」と称しています。1stシングル「青いドレス」はあの頃のR&Bスタイルですが、本作はそこから少し年月を経て、オーガニック路線に寄ったようです。なんか印象からUAとかに近いのかな、と勝手に思っています。

全体的に「優しい音楽」ですねー。パワータイプの音楽ばかり聴いている中でこういう作品がスッと挟まると泣きそうになってしまいます。一番好きなのが2「手のひらサイズの心臓」。自然の恵みを食べることを「からだに地球が入る・混ぜる」と歌う、童謡といいか民謡、あるいは「みんなのうた」チックな可愛い一曲。弦楽器や鍵盤に頼らない唱歌というのは素晴らしいですね。

 

https://youtu.be/M95uZQXtGfs

NUU「手のひらサイズの心臓」

ライブ音源がありました。レコーディング版はもっとスローかつミニマムな編成なのでまた印象が違う。

 

自然讃歌というか非欲情な楽曲が殆どなアルバムの中で9「或る女の日記」はオーガニックシャンソンといったドロッとした趣の作品となっています。この手の作風だけのアルバムだと「オッ、椎名林檎フォロワーですか」となりスルーしてしまうのですが、本作の中では程よい緩急として機能しているように思います。

ちょっとNUUは気になるので今後も気にしてみようかと。あとこの調子で猫沢エミとかCHARAとかも聴いていこうと思います。また全然違うのは分かってるのですが。オーガニックな女の子になってハンモックで寝ようかな(雑)。


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尾崎亜美「AMII'S BEST」(1994)

ここからはサクサク行かせていただきます。これも目黒区図書館にてレンタル。尾崎亜美ってビッグネームですが正直今まで楽曲を殆ど知らず…。そんな中で本ベストを借りた理由はマクドナルドでした。YouTubeでバブル期辺りのCMを観るのが趣味のひとつなんですが、特にマクドナルドのCMが好きで。時に俗、時にアンニュイなあのCM群、眠たい時に観るとなんとも心地よく「堕ち」れます。そのマクドナルドのCMの中でも1992年に放映されたあるシリーズで尾崎の「Walking in the rain」が使用されています。これがマクドナルドCMのイメージ戦略、特にセンチメンタル面を醸し出す良質な作品となっております。

https://youtu.be/-umM8QNfZ-U

思春期あたりの男の子や女の子が悲しみにくれている、そこで友人と触れあいつつマックの製品を頬張ると次第に笑みがこぼれる、最後には夕暮れのロードサイドのマクドナルド大型店が「おいしいね。マクドナルド」なるコピーと共にドーンと映し出される…。何てことないCMですが、ここで尾崎のフォーキーな弾き語りで構成された本楽曲が上手く機能してますね。「みんな、濡れながら、どこへ行くんだろう…」。マクドナルドのハンバーガーが食べたい!とかマクドナルドに行きたい!と喚起するのではなく、「いつでもそばにいるよ」という優しさを訴えかけたCMですよね。逆エドワードホッパー的アプローチ。CMの良さから本作を借り、この曲をフルで聴いてみましたが、途中でバンドがデーーンと登場したりせず、最後までアンニュイでフォーキーさを維持して終わります。CMにしても音楽にしても、こういうノリがいつまでもどこかで生き続けていてほしいものです…。

蛇足ですがこの曲、ガキ使に尾崎が出演した際に番組内で制作され、そのままエンディングとして使用された経緯があるそうです。その後マクドナルドのCMに流用されたという。これに関しては本当に知りたくなかったな。


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戸田誠司HELLO WORLD:)」(1995)

こんな有名盤ですが、地元のブックオフにて280円(から20%オフで224円か)で購入。存在は勿論知っていましたが意外にもレンタルできる場が無いんですよね(渋谷TSUTAYAに無し)…。正直そこまで興味がある訳ではなかったですが、ジャパニーズテクノの名盤であることと安価さにつられて購入しました。

SHI-SHONENやFAIRCHILD等のテクノポップバンドにて電子の風を吹かせてきた戸田の1stソロアルバムです。レビューは今さら私がするまでもありません。「TECHNOLOGY POPS π3.14」というテクノ偏向な名ブログにて良質なレビューがなされているのでそちらを是非…( http://reryo.blog98.fc2.com/blog-entry-541.html )。でも意外と(ネット以外で)気軽には入手不可な著名盤をこのような形で入手できてよかったです。8「Wiz」はエレクトロ・アンビエント作品の傑作だと思います。

 

https://youtu.be/BmQ62eTLAsc

戸田誠司「Wiz」

 

今回は目黒区図書館ディグについての解説との二本立てなのでレビューもこの辺にしておきます。最近当たりのアルバムに良く出会うのですがどうにも文章化しづらいものばかりで(割と中庸な癖に感覚的に良いと受け止めてしまうアルバムなんかは本当にレビューできない)…。だったら逆にハズレの作品についても触れていけたらいいですかね。それでは!

中級な収穫まとめ その6

「2020年なんて語られ過ぎて始まる前に終わってるようなもんだよなぁ」などと思っていたら遂に2020年ご本人がやって来てましたね。超ご無沙汰しております。各位、今年も宜しくお願い致します。

さて、先日待望の「オブスキュア・シティポップ・ディスクガイド」が発売されました。ブックオフディガー集団「lightmellowbu」を中心に編まれたこの奇書、勿論愛読させていただいております。というか、廃サロン的には本書を片手にスマホで図書館サイトを巡回するのが最近の日課となってしまっています。賢人達の汗と涙、一喜一憂と身銭の集大成ガイドを図書館ディグに使用するとはある種の冒涜かもしれません。謎の背徳感に苛まれています。しかし実際問題、本書で紹介されている盤が図書館に所蔵されている例、結構あるんですよね…。原みゆきのディスコグラフィーは全て身近な図書館で揃ってしまいましたし、石田純一「EGOIST」やディガーの必修盤「芍薬」までもが税金でどこかの市区町村が購入していたという事実(どこかは全国のディガーのやる気を削ぎかねないのであえて申し上げません)…知りたくなかったし公表すべきでないような…笑 でもとりあえず音源が手に入れられたのは有り難いです。しかしながら「ディスクガイドを読み込んだ上でアルバムを入手する」行為と「純真なディグ」は全く別であることは余りにも自明で、各々の良し悪しがあります。「確認」と「発見」の違いなのですから。ディスクガイド由来の音源探求は「チートでズルい」と言えてしまう一方「ディグの種集め」と考えれば肯定的に自己催眠可能です。そして純真なディグは偶発的な喜びへの途方のない旅です。大変ですよね。この2つを上手く反復横跳びしていければ…と思いつつ今は本書を使った「種集め」の時期なのかなぁとモヤモヤする日々です。

そんな中でも一応「純真なディグ」は継続しています。今回は年末年始に手に入れた盤をつらつらと取り上げていきたいと思います。


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KONTA「Jane Doe」(1996)

渋谷レコファンにて750円で入手。こちら、実は渋谷公会堂にてBARBEE BOYSの再始動ライブ(1階5列目という好座席だったことはずっと自慢していきたい)を観る一時間ほど前に入手したものです。ネット上でも簡単に購入可能だったのですが、見つけたときは「巡り合わせだ!買わねば!」と興奮しましたね。

言わずと知れたBARBEE BOYSのボーカリスト兼サックス奏者KONTA(近藤敦)の3rdソロアルバムにして角松敏生プロデュース盤です。ツンツン頭でお馴染みの彼が初めて下ろし髪姿を見せたジャケが印象的ですね。このヘアースタイル、それまでのKONTAのパブリックイメージからの隔たりによって生まれるショッキングな印象を含めての髪型だなぁとつくづく思います。誰かが普通にこの髪型にしても、受ける印象はまるで違う、はずです。それはともかく。

まずリードトラックである2「otherwise…nightbreak」ですが、これが最高傑作。先行シングルの「otherwise…daybreak」の方はアニメ『シティーハンタースペシャル~ザ・シークレットサービス』の主題歌であり、PVも製作されました。

 

https://youtu.be/DwXUNvApZLg

KONTA「otherwise…daybreak」

 

こちらはこちらでKONTAソロらしい疾走感あるハードなトラックとして純粋に素晴らしいです。しかし本作収録の「nightbreak」の方はどうでしょう。いや~ヒネクレまくり!まず、これジャングルじゃないっすか!カッチョイ~! シングル版よりも若干スローにした代わりにシンセメインで妖艶な音使いがなされていますね。サックスも大して登場しないけどこれはこれで。後半とアウトロで唐突に現れる知らない誰かのラップもご愛敬、というか本アレンジにおいては寧ろ「アリ」に感じてしまいます(このラップのせいかファンの中では評判良くないっぽいんですけど)。タブラ?のビートも気持ちよすぎて「アレンジャー、タルヴィン・シンか…?」と勘違いしてしまいそうになったり。ともかくアルバムremixとしては至高の出来だと感じました。

その他の楽曲も、角松の意図なのか全体的にはゴージャスなアレンジが施されています。1「早射ちマック」は入りの弾むような進行がガールズポップを彷彿とさせていたり、ホーンセクションバリバリだったりと、KONTAからストイックなイメージを取り除いたような印象を受けます。3「cats and dogs」はこれまた珍しく打ち込みぐにゃぐにゃなクラブ歌謡。サビでは「いつだって俺が謝るのは好きだからさ」となんともひ弱なKONTAが見れます。後半からはダンサブルなノリが影を潜めてしまうので息切れ気味ですが、いずれも電子メロウなナンバーに乗るKONTAを堪能できます。が、前半のソリッドに爆裂する角松節の方が丁度よく「俗」なので、緩急入れず全編これで突き抜けて欲しかったなと個人的には思います。

実店舗で遭遇することは稀に感じられますが、メルカリや駿河屋をはじめとするネット店舗ではかなり安価で手に入るので気になる方は一度聴いていただきたいです。KONTAのソロアルバム、本作以降の「KONTA」「GUYS」はやたら高いのに1st~本作はべらぼうに安いんですよね…軒並み300円くらい…。(最後の最後で脱線しますが)先日ヤフオクで「KONTA」を500円で落としたので歓喜したくらいです。


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AJA+Sandmans「月の海月」(2000)

渋谷ディスクユニオンにて350円で購入しました。ジャケのチープルナティックな印象だけに牽かれて買いましたが、このAJAというアーティスト、うかみ綾乃の名で官能小説家としても活動する異色の歌手。これまでに4枚のアルバムをリリースしており、1stはテクノポップ好事家にはちょっと知られた「クスコー氏の宇宙船」(P-MODELの中期メンバーである中野テルヲが参加)です。で、本作はセカンド。いやぁ、これはいいものですよ…。

まずAJAの歌声が、なんと言いますか「神秘的ながらも猥雑」。大半の楽曲で、そのあどけなさが色濃い声で囁くように歌っているのですが、どこか(決してマイナスにはならない)いやらしさを携えていて、いずれの時代にも見受けられない「音楽におけるセクシー」を醸し出しています。

一方サウンドは、これはかなり俗寄りのプログレッシブと言っては大袈裟でしょうが、そういうものを感じます。インディーロックに寄り添う訳でもなく、かと言って歌謡的でもなく。時にシャープに、時に大胆に奏でられるバンド編成。つまり端的に言うと「一周回って普通」かもしれません。やはり本作を支配しているのはAJAの独特な妖艶さ。俗世間とはちょっとズレた気持ちよさを提供してくれているのは彼女の声だと思います。低音で密やかに歌われることで本作の中でも特に緊張感が強い3「天国のプログラム」やラテン?ともちょっと違う独特なリフによってやや歌謡曲テイストに感じられる5「真夏の果実」が特に気に入りました。

私はとっても好きな作品ですが、いちいち内省的な歌詞のどことない中2感や電子音控えめな音作りによって「今多く聴かれるべき作品ってこともないかな」とは思ってしまいますね…。しかし決して中庸な作品ではなく、いつか再評価タイミングが来そうな気もします。機会があれば是非。


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various artists「才色兼備2」(1997)

下北沢ディスクユニオンにて230円で購入。久々にこの手の「一曲でも当たりがあればいいや」なノリのCD買いました。こちらは当時のフジテレビアナウンサー(主に女子アナ)勢揃いで各自割り当てられたオリジナルを歌うという企画モノ。本作以外にも二枚出てるみたいです。ジャケの「97年!」な色味がいいですね。化粧具合といい服装といい、そのまんまアマチュアガールズポップ歌手の寄せ集めにも見えます。

案の定当たりは一曲だけだったのですが、それが1「YOTAKA」。こちらは元フジテレビアナウンサーで現在はフリーかつ日本大学芸術学部、放送学科特任教授を務める近藤サト(すみません、本作を聴くまで知りませんでした。超美人ですね…)による歌唱です。当時はその低音な声で人気を博していたようですが、本楽曲ではその特質が最大限に発揮されています。というかですね、この声完全に「浅い眠り」辺りの中島みゆきとおんなじじゃないですか…!第一声を聴いてたまげてしまいました。アナウンサーとしての声を聞いてみるとそんなきらいは全くなく、どちらかというと「ホステス」でイメージする声質に近いのかなぁなどと思ってしまうのですが(失敬)、この歌声に関しては完全にご乱心期を抜けたぐらいの頃の中島みゆきクリソツだと思います。曲調のせいもありますが「渚へ」(1991年リリース「歌でしか言えない」収録)のパクりか…?とすら。いつぞやに買った中島みゆきのパチソンカセットの歌手なんか目でないくらいの激似っぷりです。YouTube上に音源がないので誰とも分かち合えないのが悔やまれますが…。ともかく、アニソンのアルバムに一曲だけ入ってる妖艶な当たり楽曲を発掘したかのような喜びがありました。他ですか?別に聴いてないですし聴かなくていいと思います。

 

https://youtu.be/N8h3mayS1iA

歌唱動画とか無いのでおまけです。


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Steven Halpern「アルファ波ミュージック ハルパーンのスペクトラム・スイート」(1988)

三軒茶屋ブックオフにて280円で入手。ブックオフディガーにはお馴染み過ぎる「アルファ波」という単語。もし現在「ブックオフディグ用語辞典」のようなものが製作されるとしたら絶対に収録されますよね…。とはいえ「アルファ波」という文言=当たり、ということもなく、コンセプトもありきたりなら聴取感覚にも引っ掛からない駄作がほとんどなはずです。しかしこちらは大当たりでした。最近の通勤時うたた寝のお供として役立ってくれています。というか、柴崎祐二氏「CDさん太郎」の第1回にて言及されていましたが、こちら電子ニューエイジものとしては有名盤みたいですね。アルファ波盤の括りとは別軸だとは思いますが…。

哲学博士にして作曲家・演奏家・プロデューサーの肩書きを併せ持つ、音楽療法の権威として名高い(らしい)Steven Halpern。確かにそう言われるとメディテーションにうってつけな心地よさを提供してくれる作品ではありますし、実際眠るためにあるような音の群れと感じます。ミニマルで温かい、整頓されたお香のような。「音楽」というよりはシャトルランとか体操に使われそうなムード。更にブックレットによれば各トラックが用いる音階に人体の中心点(チャクラ)が割り当てられており、その部位を意識しながら聴くと「効く」らしいです。色々と御託が並べられておりスピへの耐性のない私などは困惑してしまうのですが、「まぁ、各自好きに聴くのもええんちゃうん?」と締められているので安心しました。そうします。

 

https://youtu.be/KCd43TWa6JA

Steven Halpern「Spectrum Suite」

 

後は、アルファ波盤あるあるなテイストのジャケが好きですね。地球を凌駕するデカさの鍵盤が虹色に煌めきながら宇宙に進出するという、この手のつけようのなさ。サウンドのこじんまりとした美学とは正反対な気もしますがダサカッコイイので良しとします。現場からは以上です。


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Tiara「Pyxis」(1993)

アマゾンの中古で310円で購入。これ、気になってたんですよ。20世紀アイドル系のツイートをよくする方のツイートで存在を知り、その方の「WINKの二番煎じコンセプト系アイドルだと格別に良い」との文言で「いつか見つけたら買わねば…」とは思っていたのですが中古系の実店舗で遭遇することは全く無く。結局アマゾンに破格で上がってたので諦めて買ってしまいました。しかしこれはよいものですね。

Tiara(ティアラ)は、元乙女塾の浅山美月と菊地奏衣によるアイドルユニット。かつてもう一人加えて三人組でFairyTaleというユニット(おニャン子のカバー8cmシングルを見かけたことがあります)を組んでいた二人ですが、1993年にTiaraとして再出発。しかしながらシングル一枚と本作をリリースしたのみで活動を終えてしまったようです。

本作からTiaraは、全体的には正にWINKの二番煎じ、というか若干幼くしたような印象を受けます。声の渋みがなくクリアで、そこそこの上手さですが特徴に欠けるような。ビジュアルやアートワークもお金かかってない感じで、インパクトが弱いように思います。そんな中シングルカットもされた1「いけない…わからない…好きならばかまわない」は秀逸。タイトルがそそりますよね。サビでもタイトルがそのまま用いられ、大味なアンニュイを構成。音の方もラテン気味でダンサブルかつごっついギターソロがエクスタシーを誘います。というか、好事家の中で本曲からWINKを連想しない人なんていないんじゃないでしょうか(強いて言うなれば「夜にはぐれて」のテイストに近いんでしょうか)。割とエネルギッシュな二人の歌唱法のせいで若干中庸に寄ってしまっている気もしますが、トラックをこの路線でもう少し引っ張っていれば…などと悔やんでしまいます。

 

https://youtu.be/bqPuagf0DfQ

Tiara「いけない…わからない…好きならばかまわない」

衣装の突き抜けたダサさ。ティアラは仕方ないにしてもさ…。

 

その他の収録曲も悪くはないけどスルメ曲は無いかなぁという印象。あくまで1を聴くためのアルバムですかね…。安価に入手できるなら良いですが、バブリーアイドル研究家の方々以外は血眼になって探すようなものでもないかも知れません。

蛇足ですが、本作を一通り聴いた後何気なしにWINKを聴いたら滅茶苦茶良く聴こえました。サウンドのゴツさがまるで違う…。

 

さて来月は渋谷CircusにてYu-Kohが開催されますね。私は2日目に行くつもりです。生でAOTQ氏(実在するのか…という謎の感想)やwai wai music resort等のアーティストを観れるまたとない機会なので楽しみです。どなた様か、お会いしましたら宜しくお願い致します。あ、あとキノコホテルの創業10周年公演も行くんだった。そっちも楽しみ。5年前くらいに「真夜中のヘヴィロックパーティー」で観たきりだもんなぁ。

廃サロン恒久保存盤2019

大して更新しなくなって久しいうちにもう年末になってしまいました…。この手のブログとして締めをやっておきたいと思います。

 

大学生くらいの頃から勝手に「今年のベスト盤」を決めるようになりました。インターネットに居ると当然ながら同じようなことをしている方はごまんといらっしゃいまして、音楽系のブログやSNSをやられてる方は勿論、普段音楽のことなんて語ってない方なんかも気軽に「今年のベスト9(正方形に纏めやすいからに違いないんですけど、まさしくインターネット時代ゆえの選盤枚数ですよねぇ)はこれだ!」と発表していますね。私なんかはずうっと回顧主義者しているので「今年聴いたアルバムなら昔発表された作品入れても構わないや」とその年出たものに拘らず選盤するのですが、世の中の大半の「今年の○枚」はちゃぁんと「今年の」を守っています。それを眺めながら「皆すげーなぁ」と指を咥えるのを繰り返すこと数年。今年もまた「今年」を完璧には守れそうにありません。でもね、これもまた沢山の人が仰ってることを拝借致しますと「過去の作品を「今」の人が初めて鑑賞するならば、それもまた「今」の作品として立ち上がり得るのだ!それでいいじゃねぇか!」と。だからといって胸張って誇れるようなもんでもないんでございましょうが、「「今年」とは「今年生まれ出るもの」だけを指すではない」というマイルールを振りかざしてお粗末にレビューさせていただきたく存じます。世間的にも名盤過ぎて「今さら?」な作品も登場するかと思いますが、それ一番私が分かってるから…という訳でご容赦ください。

 


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1,ハレトキドキ「追憶のネビュラ」(2019)、及びハレトキドキシングルの数々

Vaporwave・FutureFunkが世間様に見つかってしまい、その展開・一挙一動が毎度界隈で賛否両論を生む「オカシナ」世の中になって久しい中、今年はある種ハレトキらしい一年であったように思います。ユーロビートの復興、「J-POP」の(何度目?な)再評価、その中で幾多のオマージュがメインストリーム・アンダーグラウンド関わらず登場していますが、ハレトキはシンデレラストーリー的快進撃を遂げていると思います。

私が初めてハレトキを認知したのは1stシングルである「キスミー」を友人から「これ良かったよ」と借り受けたことが切欠でした。nsn氏の可愛らしいジャケやLP風デザインの盤、そしてなによりbrinq氏によるユーロビートを踏まえつつも「どの時代らしさもありながらどの時代のものでもないような」楽曲のアレンジ・クオリティに衝撃を受け、慌てて(まだ友人から借りている状態にも関わらず)渋谷タワレコに「キスミー」を買いに行きました。その後も「タッチミー」「テルミー」「GET MY LOVE」「サンシャイン・ラヴ」とハイペースなリリースを享受しながら「これはスゴいものが進行しつつあるな」と。また今年6月には高円寺にて開催された「ジャスコランド」という古町moi氏主宰の「ジャスコテック(スーパーマーケット味を感じるペラっとしたサウンド)」なるジャンルのイベントでvo.のみさつん氏の昭和アイドル歌謡DJを聴き、その触れ幅に感動したものでした(小川範子「ガラスの目隠し」から森川由加里「SHOW ME」の流れが嬉しかった)。そして結成一周年記念公演を踏まえて発売された待望の1stが本作「追憶のネビュラ」なのです。

既発のシングル表題曲・カップリングを中心とした構成なのでつい最近ハレトキを知った人にはちょうど良く全曲入手できる嬉しいアルバムですが、正直シングルを集めてた身には新鮮味に欠ける…。と購入前には思っていたのですが、いざ聴いてみると途切れなくハレトキの楽曲の数々を堪能できる当たり前な幸せ。アルバムという形態でのリリースはやはり嬉しいものですね。件の新曲も素晴らしーです。「Dividing My Heart」は、やもすれば失礼かも知れませんが「ポップアーティストのアイドル歌手への提供曲セルフカバー」のような趣。ハレトキらしさ全開でこれまでに培われてきたエッセンスがふんだんに盛り込まれているものの、そのキレキレさが逆に提供曲感を漂わせているのでしょうか。ご本人登場の高貴。アルバムのみの収録だからか…?表題曲?の「Nebula」もボイスコラーモリモリでこれぞテクノ歌謡!な一曲。素敵。キレキレながらもポップでキュートな楽曲が続くなか、本作のイメージの触れ幅をグッと拡張しているのがInterlude。特に「Interlude2[RAVEN]」は、今年聴いたテクノインストの中で一番好きかもしれません。ミニマルながらも濃いめの味付けな本曲はさながらリッチーホウティン(特に「The Tunnel」の頃の)がサイバートランスに転向したら、なバキバキっぷり。惚れます。ハレトキを単に「みんな大好きアイドル歌謡」なユニットだと軽んじていると痛い目に遭いますね。極めつけは代表曲「キスミー」のケンモチヒデフミremix。これが最高、「ほぼ全曲持ってるから買わなくていいや」と言わず買っといて良かったです。アジアンかつ荘厳な味付け・仕組みの連続はタルヴィンシン(懐かし…)の「OK」なんかを連想させますね。これをアルバムの最後に持ってくるハレトキ…、ボートラでなくあくまでアルバムの締めくくりとして扱われることでアルバムを通して聴き終えたときに唖然を誘ってきますがこれが何故か気持ちよい。このリミックスによって、既リリース曲寄せ集めでも、かといって綺麗に整頓された順風に心地よいだけでもない、劇場型のアルバムと化していると言えましょう。勿論「キスミー」という懐の広い、何にでも成れそうな楽曲の崇高さも忘れてはいけません。

ハレトキの活動、マジで一週間毎くらいに濃密になっていてSNSから目が離せません。来年には本作のリリパもあるので気になる方は是非。前回の一周年記念ライブではブラウン管と草木を用いた、さながらナムジュンパイクの「ケージの森」のような舞台になってましたが次回はどうでしょうかね…。今後もますます精力的にリリース・ライブ等こなしていっていただけることを願っております。


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2,やや「ベストナウ やや」(1990)

いきなり29年前にタイムスリップです。てか本作、ついこないだ記事にしたばっかじゃないのよ。しかしそれでも、私にとって今年は本作無しには語れません。詳しくは本作単独の記事を読んでください。突発的にある昔のアーティストにドハマりすることの多い人生でしたが、今年は何と言っても彼女でしたねぇ。知らんがな。

ムード歌謡に歴史の教科書があるのならば、ややは絶対に最終章に記載されるべき人物でしょう。2019年にはムード歌謡は成り得ませんもの。現代がつまらない時代だと感じる理由が幾つもあるとしたら「ムード歌謡が成立しないから」というものもそのひとつ…と信じて止みません。


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3,「Kouta Katsutaro」(2019)

ややでムード歌謡の話になったので思いきってその源流らしきものの頃まで遡ってみましょうか、80年前くらいに。

本作はBandcampで「Death Is Not The End(世界の土着音楽やブルースを無国籍的に再解釈し配信しているレーベルです、という説明で正しいでしょうか…?)」が今年リリースしたベストアルバムです。Twitterで何名かの方々がお勧めしているのを見てダウンロードしました。歌手の名は小唄勝太郎。昭和初期あたりに活躍した芸者であり女性歌手です。「お座敷小唄(当時は「ハァ小唄」と呼ばれていたようです)」というジャンル?のアーティストとしては始祖に近い、後のムード歌謡に通じる楽曲の数々を歌った方のようですね。昭和のこの手のアーティストだと「ゲイシャ・ワルツ」で著名な神楽坂はん子が挙げられますが、その遥か前の芸者シンガー。

本アルバムの良い点はアーティスト名・楽曲名共にローマ字表記なところでしょうか。少なくとも日本人にとってはなのですが、こうすることにより時代感が排されジャージー・憂い・エキゾ等を纏った勝太郎の楽曲の数々を古くさくなくむしろ新鮮な室内音楽として楽しむことができますね。「遥か過去の作品であっても、今初めて観賞し愉しむことができるのであればそれは「今」の作品なのだ」を信条にディグを継続する中で本作はそのお手本のようなスタンス・形態でリリースされたと言えます。「お座敷」という男性至上主義で嫌味と捉えられがちな要素がある種障壁なのだとしたら、小唄勝太郎というアーティストは本作でそこから最大限に解き放たれたとも思います。しかしそれが私の「ビリー・バンバンニューエイジとして聴こう」みたいなヘンタイ心とはまた意味合いが違うのも事実でしょう。一世紀近くの時を越えて、勝太郎は世界に向けてアイデンティティを喪失した形で御披露目された訳ですので…。本当に「突き詰めればシンプルに愉しめばいいのだ音楽ってやつぁ」とばかり言っていてよいのでしょうかね…。謎過ぎる杞憂が始まってしまいましたが、ともかく本作は最高なリバイバルです。かく言う私は勝太郎の歌声・音のシンプルさに単純に心地よさを感じるのみですので、頻繁に通勤中の睡眠導入として聴いています。「朝からお座敷」という気負いが排されてるからこその観賞方法でしょうね。


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4,筋肉少女帯「LOVE」(2019) 収録「ボーン・インうぐいす谷」

今年を総じて振り替える回に言うのも難ですが、最近私大槻ケンヂ関連の楽曲しか聴いてません。他の作品のレビューがしづらくなるほどに。遥か以前に軽く触れていたアーティストへの偏向がふとした切欠で自分の中で再燃して歯止めが効かないという経験はこれまで何度かしてきましたが、今回再燃してしまったのはオーケンです。筋少、特撮、ソロと多岐に渡る活動をこなし、そのいずれでも単にラウドロック・ミクスチャー等といったジャンルにとらわれず其々の活動が時に融解し合う世界観を作り上げて続けていますね。先日には彼が今年始動させたポエトリーリーディングプロジェクト「大槻ケンヂミステリ文庫(通称「オケミス」)」のインストアイベントに行って来ましたが、彼の朴訥とした話法に職人芸のそれすら感じ、彼の「ラウドロックづいてる声ではなくて、うねり・粘り気を纏いつつも飄々とした発声」の良さを再認識しました、今さら。

 

そもそも彼への熱が再燃したのは先日リリースされたばかりの本作「ボーン・イン・うぐいす谷」のMVをYouTubeで視聴したことが切欠でした。本作が彼の朴訥が全開だったのです。

https://youtu.be/WT9iDI997qg

筋肉少女帯「ボーン・イン・うぐいす谷」

ある女性は小さな頃に、地元である「うぐいす谷(鶯谷とは異なる架空の地名だそうです、オーケン談)」というホテル街で頻繁にカップルの恥じらう仕草を目撃していた。彼女なりに「ホテルとは愛を大事に隠し育てる場所なんだわ、中は秘密の森になっていて鳥たちが鳴いていたりするのよきっと…」と妄想を広げていた。それを彼女は「かくれんぼ」と呼び、大人になって実際に「かくれんぼ」した時「やっぱり私間違ってなかったわ」と呟く。やがて彼女も恋人と別れうぐいす谷を去っていくのだが、その時確かに鳥のさえずりが聞こえた気がした…。以上のようなストーリーを筋少には珍しくムード歌謡(今回の頻出ワードです)チックに、しかしメタルの要素は随所に見られる形で物語っていく、という楽曲となっております。本曲が収録されている「LOVE」というアルバム自体がムード歌謡等をモチーフにコンセプト立てられた作品だそうですが、それにしても本曲は異彩を放っております。同じ「物語る」にしてもかつては主に「少年少女の鬱屈」「死生観」をテーマにすることが殆どであった筋少。2006年の再結成以後はそのようなテーマが影を潜めコミカルにシャウトな楽曲が増えてきたとはいえ、全体を通して殆ど絶唱しない朴訥とした歌唱法を含めここまで歌謡に振り切った作品はなかなかありませんでした。この歌詞、アックス(蛭子能収丸尾末広等を輩出したカルト漫画雑誌「ガロ」の後継雑誌)にぽつんと掲載される短編漫画のような趣があって本当に素敵なんですよね。近現代のお伽噺のような、陳腐に言ってしまえば「みんなのうた」のような…、テーマがテーマなのでNHKが許すはずもありませんが、それなら日曜のAMなんかでかかって欲しい作品です。

PVにしても「USAダンスに続けて流行らせたい」と語るうぐいすダンスや絵本チックというか今多いよね~なタッチの女の子のイラストが可愛らしい。お馴染みの血みどろな特効服を身につけたオーケンに何故か違和感を一切感じず「意匠の全てが成功してるな」と全開で受け入れてしまいます。

かつて80-90年代のバンドブームと渋谷系との架け橋とも言える立場にいた大槻の、意外なる寡作がここに誕生してしまったように思うのです。勿論アルバムを通して聴いても捨て曲が見つからない、申し分ない出来でありますが、廃サロン的には「ボーン・イン・うぐいす谷」を主だってプッシュしていきとうございます。


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5,西村由紀江「graceful」(1993)

今年は遅ればせながらディグの対象をニューエイジに踏み出せた年でもありました。なんだかんだで歌モノが好きなのでこれまでインストにはどうにも手が伸びずにいましたが(アンビエントなんかは大好物ですがあれはキリがないので…)、Vaporwaveへの興味関心の落ち着きからその源流を探ってみたくなったのです。手始めにブックオフでも幾度となく背表紙にてその名を目にしていたニューエイジピアニストの西村由紀江から聴くようにしたところ本作が大当たり。ニューエイジに抱いていた「安直な癒し系」という固定観念を大きく覆していただきました。本作は彼女の中でも異色らしく、ピアノの主張を抑え目に打ち込みやサックスの色気を全面に散りばめた「夜のBGM」といった作品となっております。メロウで泣かせるシンセ音に繊細で奥ゆかしい西村のピアノが妖艶に絡み付く…。2「綺 麗」なんかはそのような本作の要素をふんだんに盛り込んだ泣きインストとなっていて今年死ぬほど聴きました。ジャジーともまた異なる、都会のホテルのラウンジで流れてたらブチ上がるタイプの音楽。ニューエイジとは本来そういうジャンルでもないのでしょうけどね。濃密に夜を彩りつつ、その色は決してネオン色でなくシック。「こういう音楽聴きたいな」と期待する前に本作に出会えたことに感謝するのみです。今年親密に触れてきた音楽の中だと、アニメ版「ハートカクテル」のサントラだったり、6月にイベントで観させていただいた森で暮らす氏の楽曲等にも近しいものがありまして、このような「陰鬱としたニューエイジ」は自分の中で今年のテーマのひとつであったように思います。

、とここまでを『新蒸気波要点ガイド』を読む前に書いたのでした…。まさかピンポイントで取り上げられているとは思わず…。恥ずかしいような、でも私の稚拙な遡りの技法は案外間違ってなかったのだなぁと安心もしました。実際めちゃくちゃ良いアルバムだし。


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6,CFCF「LIQUID COLOURS」及びそのリリースライブ(2019)

あるアーティストの作品を一切聴いたことない状態でライブに行ったところ最高だったので会場でアルバムを買い、それがその年のベストに食い込んでしまった、という順序逆転サクセスストーリーが起きてしまいました。CFCFはカナダ・モントリオールを拠点に活動する(強いて言うなれば)電子音楽家。彼がdip in the poolらと渋谷・Circusにてライブを開催すると知ったのは今年の10月。dip in the poolのライブは去年のKateNV来日公演の際に観たきりだったので行かねば!と情報解禁直後にチケットを取りました。しかし肝心のCFCFについては全く知らず、なんとなく億劫でライブ当日まで音源を聴かないままに臨んでしまいました。今思えば、この「未体験のまま生でライブを観る」という状況がかえってCFCFの音楽を魅力的に感じることができた最大の要因だったのでしょう。勿論dip in the poolのライブも去年よりも更に円熟味が増して「ジャパニーズ・ニューエイジユニットとしての王者の貫禄よ…」と思わされました。しかしその直後に登場したCFCFが奏でる音楽というのが「お行儀の良いアンビエントニューエイジに治安の悪いジャングルビートが絡む」という体裁のもの!45分程度の時間、緩やかに、しかしながらノンストップで「液体」の如くぬめやかに展開していく彼の世界観に魅了されてしまいました。時折エコーがかったギターソロが介入してくることによって緩急も生まれ、浸りながらも常に覚醒した身で音楽体験ができるという点にも感動させられましたね。その後アンコールでdip in the poolとのコラボを見届け終演。物販で興奮冷めやらぬままに慌てて本作「LIQUID COLOURS」を購入し家路に着きました。

アルバムを聴いてみるとあのライブがほぼ作品再現ライブであったと分かり驚愕。CFCFのキュートながら職人気質な人柄を含む「光景」(ライブ中アロマデフューザーをいじくり回したりしていて可愛らしかった)を除けば、いつでもあのライブで体験した心地よい音に触れることができる名盤です。おまけにCD版に付属していた解説は柴崎祐二氏によるもの。非常に勝手ながら「ご無沙汰しております」という気持ちになりました。氏はそこでCFCFによる証言を踏まえて(記憶から引っ張り出した要約で申し訳ありませんが)「ニューエイジ的音響世界に(コマーシャリズム音楽的側面・俗物感の強い)ジャングルビートが絡むことで、一種のアンチテーゼとして聴くことが可能。しかし主義主張・外縁の文化的事情から切り離して単純に音を愉しむこともできる。Vaporwaveや俗流アンビエントを踏まえたリスナーは、それらとの関係性から本作を観賞できるだろう」というようなことを綴っていたように記憶しています。この解説には同意するばかりでした。「文化的背景を絡めつつ批評する心構えで音楽を聴く」という態度も「思考」という意味では勿論重要ですが、その呪縛から解き放たれることでコンテンツの受容行為はより自由かつ多岐に脚を伸ばせるようになるのでしょう。Vaporwave出現・伝播における意義のひとつに以上のような点が挙げられる、と考えていた身としては本作及びCFCFとの出会いは久々にそのような「平和な受容」について考える良い機会となりました。加えて「アンビエント」「ニューエイジ」「ジャングルビート」という(リバイバル的流行を抜きにして)「昔のアイテム」と形容されてしまう要素の数々が融合し上質な「新しいキメラ」が誕生した、という現象も素晴らしく感じます。そのキメラとしての状態に拍手喝采しつつ各々の構成要素についての興味関心が改めて立ち上がってくるのです。特にジャングルに関しては南米のレゲエを原産とし日本では90年代に小室哲哉らが多様し流行した、という奇妙な背景を持ちながら普段「わざわざジャングルを聴く」ということもない、割と謎なジャンルです。そのビートが持つ単純明快なノリの気持ちよさが正に本作を極めて珍しい「ダンサブルなニューエイジ」に仕立て上げている…。あくまで私個人の話ではありますが、今後のディグにおいてはジャングルというものを多少なりとも頭の片隅に置いておくべきだな、と思わされました。気持ちいいもんね、ジャングル。


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7,BARBEE BOYS「eeney meeney barbee moe」(1990)

祝・BARBEE BOYS(何度目かの)復活!okamoto'sとの対バンを皮切りにKONTA主演のトレンディラブコメの傑作「・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・」のDVD化、新譜「PlanBee」の発売、そして来年は代々木体育館と渋谷公会堂(追加公演)にてワンマンが開催されます。かく言う私も先日やっとの思いで渋公の方のチケットを獲得しました…。行くっきゃないでしょこれは。トレンディロックバンドとして余りにも有名なBARBEE BOYS。「目を閉じておいでよ」「女ぎつねon the run」なんかは最早バブル期のアンセムですよね。今さら語ることも無いですが、今年たまたま復活宣言のちょっと前に私の中でリバイバルが来てしまった、ということで本作にも軽くメモ書き程度に触れておきます。

元々学生時代に「√5」だけ聴いて追及していなかったのですが、夏ごろに改めて諸作を聴いてみて再燃。特に彼らの(解散前)ラストアルバムである本作の出来の良さはちょっとやり過ぎなくらいですね。男女の痴話・戯れを小綺麗でなく生々しく、それ故奇妙に描いた作品を中心に産み出してきた彼らですが、本作収録曲はどれもその世界観の強固な完成形であり捨て曲なし。マリリン・モンローの本名を冠し、いきなりKONTA絶唱で切り出される1「ノーマージン」から、曲名とは裏腹に全力疾走でスタミナ消費していく2「三日月の憂鬱」に続き、全ての振り返りを「何だったの?」と睨み返すかのような3「あいまいtension」(バービーで一番好きで、ニコニコ動画には最高なPVが上がってますね)、イマサの妖艶なボーカルにより緊張感漂う4「クラリネット」、ミディアムながら言葉遊びによりキャッチャーな5「勇み足サミー」(この曲、シングルカットなので当然ですがYouTubeにTV歌唱映像がやたらある印象)、KONTAソロの6「医者になんかわからない」と、ここまで全曲アップビート。対して後半は個人的にバービーの集大成と言うか「これでおしまい!」と宣言しているように感じる9「Na Na Na」を除けばスローなナンバー中心。杏子ソロの8「静けさに」は小刻みなギターのカッティングにどこか初々しさを感じる色っぽいつくり。そしてラスト12「おやすみ よそもの」はここに来てバービーの新機軸的世界観。生々しさは相変わらずなものの余りにも絶望的で「好きだけどあまり頻繁には聴けない曲」のひとつ。ここまでKONTAと杏子が声を張らない楽曲は無かったんじゃないですかね。

正にBARBEE BOYSの短い活動期間をジェットコースター並みに凝縮させたかのような寡作。近年何度か行ったライブでも本作から採用されることが多いみたいですね。来年の公演でもせめて「あいまいtension」くらいは聴けたらいいなぁと願っています。

 


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(8),中村由利子「アトリエの休日」(1994)

もし仮に「今年のベスト」を「今年一番聴いた盤」と解釈する場合があるのでしたら、私の場合本作に尽きます。今年の後半は通勤電車の中でほとんど毎朝のように(軽く眠るため)本作を聴いていましたから。前述の小唄勝太郎なんか比にならないくらい聴きました。

内容に関して言うことは特にありません。本作を聴いてる時は眠っているので。強いて言うなれば、ピアノ・ニューエイジモノの中でも特に起伏が少なく、心静かにさせてくれる傑作だと思います。「そういうアルバムが一番いいんだよね」とも別に思いませんけど…。知的好奇心的にはダメなリスニング傾向。ということでカッコ付きのベスト入りとなります。

 

…と、こんなところで締めようと思います。「コンセプト含めてお気に入り」「頻繁に聴いた」「一曲だけでなく全曲をまんべんなく聴いた」等を考慮して選定すると以上に留まってしまうんですよね。特に発掘盤かつベスト、と言えるものもなく、そういう意味では廃サロンを始めておいて難ですが「運命の出会い」には乏しい年だったのかも知れません…。ですが今年は予てより生で観たかったアーティストのライブに行ける機会も多かったですし、VHSディグなんかも(良くも悪くも)捗ってしまったので、単に「CDディグ」だけをしていたのでは得られない出会いが幾つもあったように感じています。来年もそんな入り組んだ出会いに期待し、生きる活力にしていきたいものです。

ではまた2020年にお会いしましょう。よいお年を…。

P.S. 気力があればこの次に2019年YouTubeベストを書きます。今年出会った変な動画について。