廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

中級な収穫まとめ その2

ご無沙汰しております。最近仕事の疲労にかまけて、CDをディグっても聴かずにウォークマンに取り込んでおしまいになっていることが多く、記事も書けずにおりました…。その代わりにVHSやカセットテープをサルベージしまくってます。

VHSは元々駿河屋を利用してちょくちょく集めているんです。が、西荻窪にある「月光キネマ」というレコード屋京急蒲田駅付近の「ヒューゴ」というエロDVD屋(土地柄お爺さんが血眼になってました)に音楽系・映画系のお宝VHSがごまんと在庫してることが最近判明し、行く度に指を埃だらけにしながら大量に買いました。ウォンカーウァイの「欲望の翼」や「天使の涙」が格安で買えたり(プラケースが緑や赤でオシャレ!)、バブリー系サラリーマン・OLモノの邦画コレクションが集まってきたり。「収納場所ねぇのにな…」と号泣しながら買い漁っております。

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↑最近買ったVHSたち(一部)。江古田のココナッツディスクで「真夏の夜のジャズ」が1000円で買えて嬉しかったです。手前の左端が件のウォンカーウァイ。鎮座するC.C.ガールズ(滅茶苦茶よい)。

 

カセットテープに関しては、最近知った雑貨屋でポータブルのプレーヤーを800円で入手したことを切欠に集めはじめました。「カセットテープはVHS以上に沼だろうな…」とこれまで2年くらい躊躇していたんですが実際底なし沼でしたね。futurefunk系はあまり集まっていないものの、dangdut(ダンドゥット。インドネシアの歌謡曲)のサイケなカセットを中心に、ポンチャック(韓国のテクノ演歌。いずれ別個に記事書きたい)やその他歌謡曲を集めています。VHSよりかは圧倒的に小さいですが、それでも数が増えると地味に圧迫感ありますよねぇ。

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↑カセットテープはこんな感じです。アジア系のものはレコード屋だけじゃなくてヤバめの雑貨屋でも希に買えるので気が抜けません。

 

そんな感じで非常に収納に困っております。昔読んでた本をブックオフに引き取ってもらっても焼け石に水。スペースが増えた気がして寧ろ諸々買ってしまいます。大袈裟かもですが買い物依存症のケを不安視しつつあります。

 

それに比べると最近集めたCDの量は微々たるもの。図書館やTSUTAYAで借りたものはそれなりにありますが、購入したものはそんなに無かった…かな…?コラム執筆のリハビリ及び最近の無意識ディグのリマインドを兼ねて、ひとつの記事にする程でも無さそうなCDを数枚ご紹介致します。


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榊原郁恵「郁恵自身 -25th Anniversary Edition-」(2001)

渋谷TSUTAYAにてレンタル。「なぜ郁恵ちゃん?」という方も多いかと思いますが、↓を観ていただければ百聞は一見にしかずかと…。

https://youtu.be/ih2jsy1DJAY

榊原郁恵 夜もヒッパレ(ヒットメドレー)

…めちゃくちゃファンキーじゃありませんこと?勿論そういう曲にそういうアレンジを施してメドレー化してるはずなんでしょうが…。更にとにかく歌が上手い。テクニシャンでなく誠実さ故の崇高さというか。あっけらかんとしたパワーを持ちつつも澄んだ声。アイドル歌手がタレント化することの功罪というのは彼らの楽曲が「一般化」してしまうことだと思うんですよね。だから幾ら詞や曲、歌唱力のレベルが高くても聴いててどこか童謡のような気恥ずかしさを感じてしまう。しかしそんな事を言ってる場合ではありません。大御所アイドルたちがfuturefunkを経由するまでもなく何百回も再評価されるのであれば郁恵ちゃんも歌手として再評価されてもいいではありませんか。「夏のお嬢さん」「robot」「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」等の(ふざけ倒したタイトルの)ヒット曲達だけでなく、本作発売まで入手困難だった隠れに隠れた名曲も、本boxでは一気に楽しむことができます。郁恵ちゃんの入門編としてはそこらのベストより本気で立ち向かえるので最適だと思いますよ。これを珍盤と見過ごさず、騙されたと思って一度手にとっていただければ少なくとも後悔はしないでしょう。

…まぁ、あの、色々言いましたけど、私はなんだかんだ2000年のホリプロ夏まつり用に制作されたという「夏のお嬢さん(パラパラMIX)」だけが聴きたいがために借りただけなんですが…。でも原曲のイントロに被さるギターの唸りの素晴らしさには勝てないんですけどね。あ、あとブックレットは読みごたえありますよ。インタビューで「同期のアイドルに比べて子供っぽい曲ばっか歌わされて違和感あった」とか言ってます。知りたくなかった。


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土橋安騎夫「FOX」(1990)

ブックオフ自由が丘店で280円で入手。ロックバンド「レベッカ」でキーボードを務め2代目リーダーでもあった土橋安騎夫の2ndソロアルバムです。ポートレートの陰影が強すぎではなかろうかという点を除けば、シンプルにエキゾチックなアートワークだと思います。内容は、これはニューエイジに当たるんでしょうか。ダークなアンビエンスに包まれたインストあり、アクの強いdip in the poolみたいな歌ものあり、小学校で帰宅時間ごろにスピーカーから流れてそうなピアノ曲ありと結構色とりどりな印象です。とはいえ全体を包むのはジャケ通りのエキゾチズム。パーカッションのパコパコした感じがそうさせるのか、シンプルながらエスノなニューエイジといったオーラでアルバムを卵とじできています。睡眠導入にも最適だなぁ、というか俗流アンビエントの気概も感じられますね。正しく歌謡ロックしていたレベッカというバンドのキーボーディストの手によるものとはにわかに信じがたいです。特定のアーティストや団体への印象を唐突に変貌させてしまうのも廃サロンディグのおもしろさですよね、と珍しくまともに締めます。

https://youtu.be/TLc7AB0x2_k

土橋安騎夫「Dividing For Pearls」

 


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夏のあらし!~春夏冬中~キャラクターソングアルバム」(2009)

地元のTSUTAYAにてレンタル。TVアニメ「夏のあらし!」という作品の挿入歌集だそうです、よく知らないんですが。どうやら作品の世界観が昭和らしく、そのせいかキャラクターによる80年代歌謡曲のカバーが毎話登場したそうです。曲目は以下の通り。


1. 夏休み/八坂一(はじめ)(CV:三瓶由布子)
2. ギャランドゥ/村田英雄(グラサン)(CV:安元洋貴)
3. みずいろの雨/マスター(CV:生天目仁美)
4. Romanticが止まらない/山崎加奈子(CV:堀江由衣)
5. ギザギザハートの子守唄/上賀茂潤(CV:小見川千明)
6. 天城越え/カヤ(CV:名塚佳織)
7. コンピューターおばあちゃん/伏見やよゐ(CV:野中 藍)
8. 淋しい熱帯魚/伏見やよゐ&山崎加奈子(CV:野中 藍&堀江由衣)
9. 昭和ブルース/村田英雄(グラサン)(CV:安元洋貴)
10. ハイスクールララバイ/塩谷feat.山代武士&十五流一夫(CV:杉田智和)
11. レーダーマン/穴守好実(CV:小林ゆう
12. 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/嵐山小夜子(あらし)&カヤ(CV:白石 涼子&名塚佳織)
13. セーラー服と機関銃/嵐山小夜子(あらし) (CV:白石涼子)

 

ベタでもありつつ時折ドヤ顔で捻ってくる感じが若干ムカつきますね…。でもこの手のアルバムらしくオーソドックスな選曲。内容も正直どうってことないです。でも10「ハイスクール・ララバイ」は結構いいですよ。この曲って打ち込みこんなに高圧的でしたっけ。杉田智和の歌唱も何故か年寄り臭く切迫した感じで、本曲のコミックっぷりを揶揄しているような印象すら受けます。イントロの乾ききったドラムスが割と最高。

こういったアニメのサントラで歌謡曲のカバーなんぞ聴いてると、BPMを高めにいじくってたり生楽器のところを悪びれずシンセで安く再現してたりするじゃないですか。こういうのって「商業futurefunk」とかなんとか呼称付けられませんかね。futurefunk系の系譜台無しになる呼称ですが。大体が期待を越えてこない、でも偶然見つけると聴いてしまう、そんな手垢の付きまくったカバー集‥。

https://youtu.be/QuVqBE_8qm0

生天目仁美「みずいろの雨」


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「With You vol.4」(1991)

ブックオフ国立店にて108円で購入。発見したときブチ上がりましたね、「え、マックのCD!?」と。マクドナルドの店内BGMかなにかが聴けると思い嬉々として即買いしました。帰宅後調べてみるとマクドナルドでやっていたスクラッチキャンペーンの賞品らしく、当時のCMも発見しました。最高…。

https://youtu.be/3MgfYxwebY8

マクドナルド マックCDチャンス」

 

しかしながら内容は大したことないです。単なる洋楽コンピでした。ハートとかMCハマーとか。川平慈英?のブリッヂMCなんかが申し訳程度に入ってるんですが、オマケにもならんですね。強いて言うなら、私は洋楽に疎いので当時のヒットチャート的なものを体感するのにはまあまあなコンピかと…。どっちかというとマクドナルドのロゴが入ったノベルティCDという自己満足の仕方をしております。108円だしね。

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裏ジャケのために買ったようなもの。会社のコピーとして「だから…」ってソレどうなのよ。

本シリーズの中には日本の歌謡曲コンピもあるそうなのでお持ちの方はぜひぜひご一報ください。


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ギリギリ・ガールズ「KISS ME」(1993)

ディスクユニオン新宿にて680円?で購入。ギリギリ・ガールズは、バブル前後に蔓延していたセクシーアイドルグループの一派ですね。C.C.ガールズ(本稿で二回も登場してしまった)とかT-BACKSとか、その辺。主にギルガメッシュないと辺りに出演してたようです。メンバーの一人である吉野美佳ミスチル桜井の元嫁(桜井の略奪婚みたいすね)。その他のメンバーも一般人と結婚したりAV出たりと万別。

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そんなゴシップは本来どうでもいいのですが、この手のアイドルグループに関しては気にしてしまうんですよね。

肝心のアルバムですが、ブックレットにピンナップが付いてたりオマケにケース大のステッカーが三枚も付属してたりと結構豪華。macとか持ってたら是非貼りたかったです。視姦かよ。

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内容は地味めなバブリー。しっかりブラコンしていて耳に幸せですが歌詞が演歌ぽいんですよね。特に1「キスミー・トーキョー」なんかは「暗闇坂」とか「青年してます」とか、マジでどういうセンス?でも人目を忍んでヘビロテしてしまう…。

https://youtu.be/4C99q1BUCI8

ギリギリ・ガールズ「キスミー・トーキョー」

 

青田典子が在籍していたC.C.ガールズはCDやVHSが比較的手に入れやすいのですが、その他のセクシーアイドルグループのグッズは結構価格が高等していて(間違いなくゲテモノ扱い)中々手が届きません。8cmシングルでも2000円はザラなのです。しかしまぁ、ミニアルバムとはいえこの手のブツを安価で獲得できて良かったです。オススメは一切いたしません。

昨今はアイドルのセルフプロデュースが当たり前になってきていると思うのですが、バブリーアイドル系は究極的にそれらの方向性とは逆・裏で、自我のないパフォーマンス集団という印象があるんですよね。それが「良い」という訳でもないんですが、ただアイドルが偶像や塀越しのレプリカントとしてアプローチしようとするのであればバブリーアイドルという方向性はある種最も簡便な手段だったんだなぁ、と当たり前なことに感慨を抱かざるを得ません。奥村チヨの頃から連綿と使われてきたこの手法が今あんまり見受けられないというのは寂しくありますが、そう思うならコンビニのエロ本もガンガン応援しなきゃいけなくなるのであくまで細々とディグっていきたく思います。

 

先日伺った、新宿du cafeにて開催された柴崎氏のイベント「出張!CDさん太郎」で「こういうの(氏がディグるCDの数々)、ハズレばっかですよ笑」と仰っていたのを直に聞き、まだまだ自分は守りに入ってるなぁと思いました。本稿で紹介したCDなんかもなんだかんだ私的には当たりですし、そもそも「これは満足いく内容だろうな」ってジャケのモノしか買わないので…。折角究極の解放区である図書館でもディグっているので、もう少し冒険していく姿勢も必要だなぁとしみじみ思いました。そもそも借りたり買ったりしたCDを積みっぱなしにするなよという自戒も別にありますが…。

後は、1つのコラムで1つのCDを紹介するメインの記事よりはこういうまとめ記事の方が書きやすいので、今後はこちらをメインにするかもしれません。あーでもひっそり予告していたビリー・バンバンの記事はきちんと仕上げたいですね。以上です。長々とすみませんでした~。


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柴崎氏がアロエを紹介してくださってて嬉しかった、の図