廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

別館 電影魔窟で拾い上げるVHS①

はい、今回から別館を設立いたします。名付けて「電影魔窟」です。こちらでは私が収集したVHSを紹介していきます。

私はVHSを(確か)5,6年前よりちまちま集めています。当時はまだ中古メディア市場にVHSが相当数存在し、ブックオフにも一本100円~という価格帯で様々なVHS(今もそうですがディズニー映画やジャニーズ、ハロプロ系が多かったです)が打ち捨てられるように売ってました。その中には未DVD化のもの、DVDを購入するとなると高価なものが紛れており、宝探しのような気分で収集していたことを覚えています。図書館でのCDディグを始めたのもこの頃なので、私にとってCDとVHSは同じように(そこそこ)長年ディグしてきたメディアなんですね。それでも当時は「たまたま」気になるものを見つけたら買う程度でしたが、ここ2年くらい意識的に廃サロンディグをするようになるに伴い、レコード屋なんかでYMO関連やP-MODEL関連のVHSをほぼ無意識に買うようになり、件の「電影魔窟」ディグが平行してスタートしてしまいました。メインで収集しているのはどメジャーからマイナーまで問わず興味のあるアーティストのライブ映像やPV集、ほぼイメージビデオ程度なレベルのもの。ほとんどレコード屋駿河屋で購入しますが、最近はメルカリも多用するようになっちゃいました。次に90年代周辺のトレンディB級邦画。こちらはカスであればカスであるほど面白かったりするので激安なものでも気が抜けません。中古ビデオ専門店でジャケとにらめっこしながらバブリーな香りのする駄作を探すのが好きです。その次に、これはちょっと収集に努力を要するのですが、90年代のアジア映画も掘ってます。駿河屋なんかには以外に揃っておらず、ビデオ屋さんで遭遇できたらラッキーな代物です。それでも流石に「恋する惑星」レベルのものでしたらそこそこ見つけられますかね。他にもごくたまにアニメ系やCG創世記の映像集なんかも見つけられたら買う、といったところでしょうか。こんな感じでいつの間に枕元にそこそこの高さのVHS山を従えて就寝する生活となって久しいです。B級ホラーのVHSなんかを集めている方々からしたら少ない方ですが、5,60本くらいは溜まったんじゃないでしょうか。自宅のあちこちにスペースが乱立してて面倒なのであんまり数えたくないです。

VHS視聴というのは、旧式メディアギークメンにとっての「儀式」であり「祈り」なのだと思っています。DVD視聴のその1がディスクを「乗せる」のに対しVHSはテープを「差し込む」のがスタート。幾ばくかの重みを感じつつガチャリとテープを挿入すると、時間差で画面には誰が名付けたか「砂嵐」が吹き荒れる。やがてノイズのちらつく漆黒が「許可を得ずにレンタル・上映会・販売することを固く禁じます」なる文言によって明ける。そしてメーカーの禍々しいロゴと共に本編スタート。テープによっては別作品の紹介予告を見ないといけないものもありますね(ディズニー映画のビデオやレンタルしたビデオに多かったイメージですが、購入した中古テープに入ってると逆に貴重に感じられ嬉しい)。そして本編を見終えると次回首尾よく観られるように巻き戻し。例え「もう2度と観ねーな」と決め込んだものに関してもついつい巻き戻してしまう謎の性…。

これのどこが「儀式」なんじゃい、と言われてしまうと難しいんですが、チャプター分けされていない、微妙にお手軽ではないメディアに相対して愚直に観賞するのってどことなく信心深く思えませんか…?間違っても「メルカリでVHSディグってると結構大川隆法の霊言ビデオ出てくるよね」みたいな話ではございません。

前述済みですが「場所をとる」というのもVHSディグの大きな特徴のひとつであります。DVDのソレと比べて2,3倍の厚みがあるパッケージ。だからこそ背表紙のブツとしての存在感は相当で、コレクション行為の実感がCDやDVDよりも湧きやすいのは確かです。「ゴツくて格好いいなぁ」という特徴がオトコノコ本能を満たしてくれるんですよ。しかしながらスペースが無くなってくるとその代償もでかく、限られた場でないと買い取りなど望めないので手放すには「もえないゴミ」にしてしまうのが手っ取り早いという事実。私が主に集めている毒にも薬にもならないような内容・価値の作品であれば尚のこと。板橋区・大山の「LINK」というVHS屋では要らないVHSを持ち込むと割引が受けられるサービスをやっていましたが7月に閉店してしまったようです…!閉店直前にたまたま訪れておいて良かった…。

では試しに何本か最近の収穫をご披露して皆様のご機嫌を窺おうかと思います。


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『右曲がりのダンディー』(1989年公開)

いきなりコレです…勘弁してください…。私のディグ範囲ってこんな感じですよ、というものを象徴した作品です。蒲田のヒューゴにて100円で購入。

見ての通り安全地帯・玉置浩二主演のバブリーラブコメ映画。原作は末松正博の漫画作品だそうです。玉置の演じる一流商社営業マンの一条まさとは容姿端麗でスポーツ万能、都内各地にキープのギャルを持ち、一晩かけて彼女たちに会って回る生活。そんな彼の元に名取裕子や松本小雪(「夕やけニャンニャン」で鶴太郎と一緒に司会を務めてましたね)演じる問題アリの女性たちが現れひと悶着もふた悶着も起こる…ってな簡単極まりないストーリーです。内容を真剣に観るとまあまあの駄作なのかもしれませんが、「怪演」から逸脱したハツラツ玉置が観られる快活な作品という意味では最高。平成版「日本一の○○男」シリーズを作りたかったというような気概も感じます。となると玉置が植木でこぶ平(玉置の同僚として三番手役での出演)は谷啓?などと余計な感想を抱いてしまいます。他にも加賀まりこ井森美幸仮面ライダーまでもがちょい役として出演しています。井森はマジで10秒くらいしか出てなくて拍子抜けしてしまいました。ネオン輝く六本木の街を仮面ライダーのバイクに2人乗りする玉置のシーンは、これだけで「観てよかった」という気分にさせてくれます。あとは玉置が酔い潰れてバーで滅茶苦茶にゴロゴロ転がるシーンも最高ですね。主題歌の玉置ソロ作「I'm Dandy」もブラスが利きまくってて、シャウトまみれで格好いいんですよ。

https://youtu.be/unUJEU5rtpw

玉置浩二「I'm Dandy」

バブリーモノを集める中で1つの指針になるようなビデオでした。当時の定価¥14,307には目を疑いましたが…(映画のVHSは往々にして当時¥15,000程度しました)。

 

https://youtu.be/J6fPV7_q-20

↑アアッ、YouTubeで全編観れてしまうじゃないかッ、けしからん。ということでお暇な方はどうぞ。


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Wink『Winkle Winkle』(1991)

活動停止中のアイドルユニットの中で群を抜いて今最も乗りに乗っていると言っても過言でないWink。彼女らの「イメージビデオ」です。金町のビデオスターにて500円で購入。

今年は結成30周年ということで彼女らの音源や映像作品が多数再発されましたが、本作はそこから見事に漏れています。まあ内容を観れば再発されなくて当然という感じでしが。内容はWinkの二人がロスとハワイ(かどうかもよく分からない砂漠っぽいどこか)で若干微笑みながら戯れているだけの30分。BGMとして本作限定の楽曲が6曲も収録されているのですが、勿論彼女達が歌っている訳でもないインストで、出来の悪い方の俗流アンビエント未満のような何か。コレクターズアイテムと言うにもお粗末な内容で、見終えてちょっと落ち込んでしまいました。当時はWinkもタレントショップを乱立させていたと聴きますが、そういうような場所で人知れず放置されていたようなVHSなのかな、と予想する以外に私にできることはございません。せめてPV集のインタールード的に挟み込む為の撮影にしておけばよかったのに。


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中江有里「DEUXMONTS」(1993)

現在主に文筆家やコメンテーターとして精力的に活動している中江有里、そんな彼女はかつてアイドルとしてデビューしていた…!そんなどことなく淫乱すぎる設定をお持ちの中江の(こちらも)イメージビデオです。駿河屋で確か500円程度で購入。

中江は1989年にアイドルとしてデビュー後、女優業等もこなしつつ2枚のアルバムを発表。その後メディア露出は断片的になり、ちらほらと作家業を開始。近年になってコメンテーターとして見かけることが増えてきました。活動初期から漂っていた知的な印象がそのまま成熟していった素晴らしい女性だと思います。歌声も針の通ったインテリジェンス溢れるものでして、「媚び」もなく、しかし「発散」もないフラットさがあります。という訳で彼女の楽曲には逆に感想があまり持てません。どの楽曲も気持ちよく聴けるけどハッキリと印象には残らないという。彼女に提供した作家陣は中島みゆき来生えつこ松井五郎…と定番どころを抑えてて豪華なんですけどね。そして本作はそんな楽曲の数々を彼女の写真集撮影に同行し撮影したロケ映像と共に楽しめるビジュアル写真集といった趣のVHSです。この頃はこういった体裁のイメージビデオが写真集と同時発売されることが多かったみたいですね。しかしそこは中江のイメージビデオらしく、イヤらしい作りには一切なっておらずあくまで「綺麗な映像集」としてみることができます。あとはジャケにこのショットを選んでいただき有り難うございます…という感想が強いです。ちょっと、あの、完成度が凄すぎて…なんとも…とキモいのたうち回り方をしてしまいますね…。

今度中江有里松井五郎トークイベントがあるみたいですが正直予約して行くべきだったかもしれません。

 

https://youtu.be/QyRP_jfmJIM

中江有里「風の姿」

本作の映像から中島みゆき作詞作曲の「風の姿」を視聴していただきましょう。砂漠っぽいですがそんな格好で暑くないんですかね。


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『スイートスポット』(1991)

バブルの代表格である流行語「おやじギャル」の発案者として有名な中尊寺ゆつこ原作の「SPA!」に連載されていた「スイートスポット」のOVAです。こちらは西荻窪の月光キネマにて700円で入手。発見したときは求めていたものの想定していなかった対象が具現化したようなものを見つけてしまった嬉しさに狂喜しました。

主人公の小山田ノンを始めとするOLたちのゴルフにディスコにハイブランドに大忙しな日常をコミカルに描いたギャグアニメで、ストーリーは特になくオムニバス形式の単発作品という印象です。内容は恐らく漫画の方を読んでいただいた方がテンポ良く理解できるんじゃなかろかと想像しています、読んでませんが。それより特筆すべきなのが声優陣。本作は製作がフジテレビ映像企画部なるところなのですが、声優の殆どを当時のフジテレビアナウンサーの面々が務めているのです。ちょっと世代でないので知らない方もいるのですが、有賀さつきの出演が全てを物語っていることくらいは分かります。他にも八木亜希子河野景子横澤彪…と微妙な豪華さ。ですがキャラクターの殆どがモブキャラなので誰が誰を演じてるのかは観ていて全然分かりませんでした。ですが全員演技力に乏しく文化祭のような雰囲気で微笑ましいです。そんな中、主人公である小山田を演じているのが何故か唯一フジアナでない森尾由美でウケます。森尾由美なんてバブリーから最も遠いような雰囲気なんですがねぇ、当時はどうだったんでしょうか。声優っぷりはこちらもハッキリ言ってヘッタクソで感慨深いです。ジブリにも不可能な名采配…。

トレンディやバブリーな要素をドラマや映画でなくアニメで観る機会というのは少ないのでこちらは貴重な作品と言えるでしょう…か…。宝物として大事にしてます。

 

初回はこの程度にしておきます。今後も電影魔窟で何か拾い上げましたらCD同様不定期にご紹介したいと思います。頻繁に更新できるとも思いませんが、たまーにお楽しみいただけますと幸いです。では。