中級な収穫まとめ その1
図書館やブックオフなどの廃サロンから帰ると、自宅の一角に↑のようなスペースができてしまうのが悩みです。ここではそんな「死の山脈」における平野、つまり「一本のコラムにするほどでもないけれどなかなか良盤だったCD」を、最近入手したものを中心に軽盛りでご紹介致します。今回は目黒区の図書館と新宿のブックオフから。
「アニメホットウェーブ」
先ずはこちら。おなじみ目黒区の図書館にて入手。80-90年代のアニメの主題歌を集めたコンピです。アニソンのコンピは世の中に腐るほどありますが、これほど丁度いいものに出会うのは初めてでしたね…。
「機動警察パトレイバー」の主題歌である、仁藤優子の「そのままの君でいて」から始まり、中原めいこの「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット(ダーディペア)」や太田貴子の「デリケートに好きして(魔法の天使クリィミーマミ)」、中村由真による「Dang Dang気になる(美味しんぼ)」など入り乱れ、杏里の「CAT’S EYE(CAT’S EYE)」で終幕…。それぞれのアニメのことは殆ど分からないのですが、いずれの楽曲もトレンディ歌謡としては語るまでもない大メジャーばかり。Futurefunkの元ネタとしても重宝されるダンスチューンで埋め尽くされています。
この時代のアニソンは歌謡曲との境目が曖昧で、キャッチーなものをとなると自ずとクラブ対応可なアレンジになりがちでした。大味なものも数多ありますが、本作の収録曲はいずれもパワーを感じますね。魔法少女モノやロボットモノなど作品の世界観に統一性がなく、飽きずに聴けるからでしょうか。
「Dang Dang気になる」は近年LPシングルが発売されたことでも知られており、いつか音源を手に入れておきたかったので、このような形で手に入って有り難かったです。「美味しんぼ」って近年だと当たり前に描かれる異常性に注目されがちですが、全盛期の世界観はかなりトレンディしてるように思います。だからこのような楽曲が唐突にOPに採用されててもあんまり違和感がないんでしょうね。
アニソンへの抵抗感を緩和させたいとお悩みの方(いますかね)なんかにはオススメのトレンディ俗コンピでしょう。
「DangDang気になる」
前川清「神戸」
こちらも目黒区図書館にて入手。ムード歌謡のプリンス(?)、前川清のベストです。前川は非常に息の長い歌手で、内山田洋とクール・ファイブのボーカリストとして「長崎は今日も雨だった」をヒットさせたのが1969年なんですね…。ちなみに「そして、神戸」が1972年で「東京砂漠」が1976年。いずれも「昭和のヒット曲」みたいなバラエティを観てると結構な頻度で写りますよね。若い方も一度は彼の歌声を聴いたことがあるのではないでしょうか。
そして本ベストは当時の前川の最新シングル「神戸」を一等始めに、「そして、神戸」をラストに持ってきた、タイトルに恥じないアルバムとなっております。と言っても収録曲全てが神戸を舞台にしたものではありませんので、コンセプトベストという訳でもないようです。それにしても渚ゆう子における「京都」然り、ムード歌謡を歌う者として特定の地名への偏向があるのはなんかいいですよね。歌手としての世界観がバッチリ決まるというか。彼のビブラートのブルブル震える濃い歌声は、ギラギラと輝く神戸のネオンを反射する川面を連想させてくれます。演歌歌手やムード歌謡歌手のベストにありがちな大全集的な2枚組以上のベストじゃないのも聴きやすい。トレンディ盤としては無理がありますが、正当な「ムード」歌謡を聴きたいときにはうってつけではないでしょうか。
ちなみに私、本作からは殆ど「そして、神戸」しか聴いてません。だってやっぱり飛び抜けてるもの。あ、あとジャケはチョー格好いいと思います。
「そして、神戸」
小泉今日子「KOIZUMI INDEX 100」
こちらは新宿ブックオフの200円コーナーにて入手。小泉今日子の楽曲(オリジナルアルバム収録曲ばかりですが)の導入部1分程度が100曲収録されています。正にインデックス。小泉今日子のガチファンには楽しく便利な作品かもですが、今ごろになって聴きはじめた私としては何これ状態。せめてノンストップMIXなんかになってれば使えるんでしょうがきちんと各曲毎にフェードアウトしてくださってます。いつ聴けばいいのこれ。調べてみると小泉のベストアルバムの初回特典だったみたいですね。
そういえばクラシックやジャズなんかでもこういったインデックスアルバムって存在しますよね。そちらも短時間でフェードアウトします。中学生の頃、ふとジャズってもんを聴きたくなって図書館で探したらそのテのベストを見つけ「こんなに沢山入ってるならこれ一枚借りればいいじゃん!」と喜び勇んで帰宅したら細切れの曲ばかりで騙された気持ちになったことを思い出しました…。
本作は図らずともそんな幼少期の些細なノスタルジーを歓喜してくれる作品でありました(無理くりな終幕)。
「東京ディズニーランド・ミュージックアルバム」
ディズニーランドのアトラクションやパーク内で聴こえてくる音楽・BGMを集めたコンピです。1998年の作品なので、現在は廃止されてしまったアトラクションの音楽なんかも聴けます。こちらも目黒区の図書館にて入手。
こちらはかつて存在したアトラクション「ミッキーマウスレビュー」の音楽が聴きたくてレンタルしました。覚えていらっしゃいますかね、ミッキーマウスレビュー。その名の通り、ミッキーが指揮する楽団がディズニー作品の名シーンを再現しつつサントラを奏でる、というアトラクション(というか人形ショー)でした。現在件のアトラクションは3Dメガネをかけて楽しむ「フィルハーマジック」に改修されてしまっています。類似アトラクションに「カントリーベアシアター」(こちらは現存しています)がございますが、私は何故かレビューの方に強い思い入れがありまして。今でもたまにYouTubeで動画を見てしまうんですよね。YouTubeを開かなくてもあのメドレーが聴けるのは有難いんですが、改めて「あの空間・(キャラクターを含めた)舞台装置ありき」だったんだなぁ、と至極当然のことを思ってしまいます。でもでも嬉しい。
あ、あとパーク内のさりげないBGMが少し収録されているのもアツいですね。記憶から抹消されていた筈のノスタルジーを喚起してくれます。というか遊園地の音って言い様のない高まりを与えてくれる。そこも含めて計算ずくの世界であるはずでしょうが、そこに呑まれてしまうのもまた良し。
「ミッキーマウス・レビュー(本編)」
「O.S.T 名盤コレクション・スーパー・リミックス」
新宿ブックオフの8cmシングルコーナーにて108円でゲット。「ウルトラマンのうた」「モスラ・インファント島の娘」「眠狂四郎」がハウス風にリミックスされて収録されておりました。8cmシングルでサントラのリミックス盤がリリースされるなんで、「いい時代でしたね」としか言いようがないですね。各々、劇中からのサンプリングが多用されておりまあまあ面白いですが、大体のリミックス版がそうであるように何度も聴こうとは全然思えません。珍盤でDJやるような方は一枚持っておくといいんじゃないですかね、それにしては元ネタがありきたり過ぎますけど。
吉田弥生「エクシス」
新宿ブックオフ入り口あたりの、280円コーナーからすらハブられてしまった100円投げ売りコーナーにて入手。ジャケのエスニック・クソコラ感が結構気に入ってます。内容はインストで、雅楽で使用される管楽器、笙(しょう。お正月のNHKとかで「ファ~~~ァン!」って言ってるアレを出してる楽器です)とオルガンを組み合わせた「エクシス」という創作楽器のアルバムです。詳しいことは↓でご確認ください。
https://plaza.rakuten.co.jp/koutyou/diary/201001220004/
エクシスという楽器の音、ちょっと面白いんですよね。雅楽のあの感じよりは軽くて、パイプオルガンのようでいてそれよりはチープ。しかし、↑でチャルメラとの共通点が述べられていますがチャルメラよりかはまだ荘厳。手入れを怠ったハーモニカのような音でもあります。ま、そのような楽器でバッハの「アベマリア」やモーツアルトの「トルコ行進曲」、さらには世界のポップスまでもが演奏されているのが本作です(選曲によってチープ感が増してるような気もします)。
一番気になるのが、7曲目が「ビーマイベイビー」となっている点。本作の購入理由、この曲がCOMPLEXのアレかと思ったからなんですが、実際聴いてみるとどこにも布袋と吉川の鱗片を感じません。というかこれビーマイベイビーじゃなくない…?聴いたとき滅茶苦茶モヤモヤしました。
でも本稿で取り上げた中ではかなり名盤な方です。全編を通して高音がキツいのが難ですが、リラクゼーション力はなかなかだと思います。恐らく目撃頻度は最低でしょうが頑張ってお探しください。
以上、最近集めた中級盤のうち、聴き終えたものをザッとご紹介しました。また玉石混淆なディグが一段落したらこのような回も設けたいと思います。宜しくどうぞ。