廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

第3回 菊池桃子「ESCAPE from DIMENSION」


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菊池桃子「ESCAPE from DIMENSION」

Vap – 80036-32

 

熱の籠った内はガンガン書いていきたいと思います。3回目にして菊池桃子を持ってきてしまいました。YouTubeで音源が聴けるとなるとこの辺が手堅いので。

本作、昨年ひとりで金沢に旅行へ行った際にブックオフで出会いました。ホテルのチェックインを終え「飲みにいこうかな」というところで付近にブックオフを見つけ、慌てて駆け込むと、お馴染み500円コーナーに本作が鎮座(?)しておりました。

菊池桃子のアルバムはヤバい」と、噂は予々見知っていたのですが、モノホンを見るのは初めて。旅行中の高揚感も相まって、即レジへと運びました。といっても聴くまでは「タイトルのエッジに対してジャケが牧歌的すぎる」くらいの印象。旅行から帰宅し全曲聴き流してみたところで本作の「ヤバさ」を痛感したのでした。というか、このアルバムが良すぎて菊池桃子の他のアルバムが殆ど聴けていない状態です、未だに。

 

本作は菊池桃子にとって4作目のアルバムであり、それまでの作品もそうであったようにプロデューサーはオメガトライブでもお馴染み林哲司です。それまでの彼女のアルバムでもオメガトライブばりの80年代式シティポップが炸裂しているのですが、本作は「シン・ゴジラ」のサントラを担当した鷺巣詩郎やテクノ寄りだった頃の久石譲等が編曲者として参加していることで、ゴリゴリのテクノ・エスノ歌謡アルバムと化しております。しかも菊池桃子のボーカルは抑揚なし・張りなし、といった具合。ロリ声って訳でもないんですが、ともかくテクノポップとしての要件を満たしまくりです。ボーカルとサウンドが全く癒着していない。

説明が説明になってないので、とりあえず数曲聴いていただきましょうか。

 

https://youtu.be/ET_qfsBDjW4

「Dreamin' Rider」

ヤバヤバPVと共にお送りいたします。入りの「チチチチッチチッ」って音にまず持ってかれますね。F1の映像と一緒に聴きたい。パワーアイドルポップ。ゴッリゴリのテクノ歌謡。それにしても声が能天気すぎる。 

 

https://youtu.be/9FL2xWLJ86c

「Ivory Coast」

ガムランのようなパーカッションに支配されたエスノ歌謡。こちらが久石譲の仕事です。恋愛の歌でもなんでもない、砂漠の情景を歌ってるだけってのが最高ですね。なんか、他に言いようがないんですが、この曲「お値段が高そう」。

 

https://youtu.be/1i2Al3Hi3xo

「Yokohama City of Lights」

砂漠の次はヨコハマ。横浜にしては高貴すぎるんじゃありませんこと、この音使い。歌詞が「横浜」って単語以外に明確な横浜要素が皆無です。それがいいんですが。ズズズッとしたシンセ使いが蔓延しまくってて、トレンディ歌謡好きには堪りません。

 

映像をご覧になっていただいたのでお分かりかと思いますが、このテの楽曲たちにPVが付けられていたり、バラエティ番組での歌唱が許されていたのを見ると、どうしても懐古厨にならざるを得ないというか。いずれもシングルカットされてませんからね、↑の楽曲。

本作からのシングルカットは「Say Yes!」という楽曲なんですが、正直アルバムから浮きまくりです。小学校低学年向けの運動会用の曲みたい。嫌いじゃないんですけど。

https://youtu.be/2DdRE9ceP4Y

 

本作の直後に来るのが、菊池桃子伝説のピークである「ロックバンド」、ラ・ムーです。

本作はアイドルシティポップとしての最高傑作「菊池桃子」と、和製ブラックコンテンポラリーの最高傑作「ラ・ムー」とのInterludeとして、いいとこ取りのアルバムとなっております。ので、楽曲単体ごとでなく、是非アルバムとして聞いていただけますようよろしくお願いいたします。

 

https://youtu.be/C-jLEi2uvrE

ラ・ムー「愛は心の仕事です」

バンドメンバーが菊池桃子以外ほぼシルエットでかっこいい。曲は言わずもがな。