廃サロンで手に取るCD

ブックオフ・図書館・TSUTAYAなど「文化の墓場としてのサロン」で入手してきたCDを紹介します。

中級な収穫まとめ その2

ご無沙汰しております。最近仕事の疲労にかまけて、CDをディグっても聴かずにウォークマンに取り込んでおしまいになっていることが多く、記事も書けずにおりました…。その代わりにVHSやカセットテープをサルベージしまくってます。

VHSは元々駿河屋を利用してちょくちょく集めているんです。が、西荻窪にある「月光キネマ」というレコード屋京急蒲田駅付近の「ヒューゴ」というエロDVD屋(土地柄お爺さんが血眼になってました)に音楽系・映画系のお宝VHSがごまんと在庫してることが最近判明し、行く度に指を埃だらけにしながら大量に買いました。ウォンカーウァイの「欲望の翼」や「天使の涙」が格安で買えたり(プラケースが緑や赤でオシャレ!)、バブリー系サラリーマン・OLモノの邦画コレクションが集まってきたり。「収納場所ねぇのにな…」と号泣しながら買い漁っております。

f:id:rikimikiri:20190609220803j:image

↑最近買ったVHSたち(一部)。江古田のココナッツディスクで「真夏の夜のジャズ」が1000円で買えて嬉しかったです。手前の左端が件のウォンカーウァイ。鎮座するC.C.ガールズ(滅茶苦茶よい)。

 

カセットテープに関しては、最近知った雑貨屋でポータブルのプレーヤーを800円で入手したことを切欠に集めはじめました。「カセットテープはVHS以上に沼だろうな…」とこれまで2年くらい躊躇していたんですが実際底なし沼でしたね。futurefunk系はあまり集まっていないものの、dangdut(ダンドゥット。インドネシアの歌謡曲)のサイケなカセットを中心に、ポンチャック(韓国のテクノ演歌。いずれ別個に記事書きたい)やその他歌謡曲を集めています。VHSよりかは圧倒的に小さいですが、それでも数が増えると地味に圧迫感ありますよねぇ。

f:id:rikimikiri:20190609221033j:image

↑カセットテープはこんな感じです。アジア系のものはレコード屋だけじゃなくてヤバめの雑貨屋でも希に買えるので気が抜けません。

 

そんな感じで非常に収納に困っております。昔読んでた本をブックオフに引き取ってもらっても焼け石に水。スペースが増えた気がして寧ろ諸々買ってしまいます。大袈裟かもですが買い物依存症のケを不安視しつつあります。

 

それに比べると最近集めたCDの量は微々たるもの。図書館やTSUTAYAで借りたものはそれなりにありますが、購入したものはそんなに無かった…かな…?コラム執筆のリハビリ及び最近の無意識ディグのリマインドを兼ねて、ひとつの記事にする程でも無さそうなCDを数枚ご紹介致します。


f:id:rikimikiri:20190609221908j:image

榊原郁恵「郁恵自身 -25th Anniversary Edition-」(2001)

渋谷TSUTAYAにてレンタル。「なぜ郁恵ちゃん?」という方も多いかと思いますが、↓を観ていただければ百聞は一見にしかずかと…。

https://youtu.be/ih2jsy1DJAY

榊原郁恵 夜もヒッパレ(ヒットメドレー)

…めちゃくちゃファンキーじゃありませんこと?勿論そういう曲にそういうアレンジを施してメドレー化してるはずなんでしょうが…。更にとにかく歌が上手い。テクニシャンでなく誠実さ故の崇高さというか。あっけらかんとしたパワーを持ちつつも澄んだ声。アイドル歌手がタレント化することの功罪というのは彼らの楽曲が「一般化」してしまうことだと思うんですよね。だから幾ら詞や曲、歌唱力のレベルが高くても聴いててどこか童謡のような気恥ずかしさを感じてしまう。しかしそんな事を言ってる場合ではありません。大御所アイドルたちがfuturefunkを経由するまでもなく何百回も再評価されるのであれば郁恵ちゃんも歌手として再評価されてもいいではありませんか。「夏のお嬢さん」「robot」「アル・パシーノ+アラン・ドロン<あなた」等の(ふざけ倒したタイトルの)ヒット曲達だけでなく、本作発売まで入手困難だった隠れに隠れた名曲も、本boxでは一気に楽しむことができます。郁恵ちゃんの入門編としてはそこらのベストより本気で立ち向かえるので最適だと思いますよ。これを珍盤と見過ごさず、騙されたと思って一度手にとっていただければ少なくとも後悔はしないでしょう。

…まぁ、あの、色々言いましたけど、私はなんだかんだ2000年のホリプロ夏まつり用に制作されたという「夏のお嬢さん(パラパラMIX)」だけが聴きたいがために借りただけなんですが…。でも原曲のイントロに被さるギターの唸りの素晴らしさには勝てないんですけどね。あ、あとブックレットは読みごたえありますよ。インタビューで「同期のアイドルに比べて子供っぽい曲ばっか歌わされて違和感あった」とか言ってます。知りたくなかった。


f:id:rikimikiri:20190610184444j:image

土橋安騎夫「FOX」(1990)

ブックオフ自由が丘店で280円で入手。ロックバンド「レベッカ」でキーボードを務め2代目リーダーでもあった土橋安騎夫の2ndソロアルバムです。ポートレートの陰影が強すぎではなかろうかという点を除けば、シンプルにエキゾチックなアートワークだと思います。内容は、これはニューエイジに当たるんでしょうか。ダークなアンビエンスに包まれたインストあり、アクの強いdip in the poolみたいな歌ものあり、小学校で帰宅時間ごろにスピーカーから流れてそうなピアノ曲ありと結構色とりどりな印象です。とはいえ全体を包むのはジャケ通りのエキゾチズム。パーカッションのパコパコした感じがそうさせるのか、シンプルながらエスノなニューエイジといったオーラでアルバムを卵とじできています。睡眠導入にも最適だなぁ、というか俗流アンビエントの気概も感じられますね。正しく歌謡ロックしていたレベッカというバンドのキーボーディストの手によるものとはにわかに信じがたいです。特定のアーティストや団体への印象を唐突に変貌させてしまうのも廃サロンディグのおもしろさですよね、と珍しくまともに締めます。

https://youtu.be/TLc7AB0x2_k

土橋安騎夫「Dividing For Pearls」

 


f:id:rikimikiri:20190610190353j:image

夏のあらし!~春夏冬中~キャラクターソングアルバム」(2009)

地元のTSUTAYAにてレンタル。TVアニメ「夏のあらし!」という作品の挿入歌集だそうです、よく知らないんですが。どうやら作品の世界観が昭和らしく、そのせいかキャラクターによる80年代歌謡曲のカバーが毎話登場したそうです。曲目は以下の通り。


1. 夏休み/八坂一(はじめ)(CV:三瓶由布子)
2. ギャランドゥ/村田英雄(グラサン)(CV:安元洋貴)
3. みずいろの雨/マスター(CV:生天目仁美)
4. Romanticが止まらない/山崎加奈子(CV:堀江由衣)
5. ギザギザハートの子守唄/上賀茂潤(CV:小見川千明)
6. 天城越え/カヤ(CV:名塚佳織)
7. コンピューターおばあちゃん/伏見やよゐ(CV:野中 藍)
8. 淋しい熱帯魚/伏見やよゐ&山崎加奈子(CV:野中 藍&堀江由衣)
9. 昭和ブルース/村田英雄(グラサン)(CV:安元洋貴)
10. ハイスクールララバイ/塩谷feat.山代武士&十五流一夫(CV:杉田智和)
11. レーダーマン/穴守好実(CV:小林ゆう
12. 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。/嵐山小夜子(あらし)&カヤ(CV:白石 涼子&名塚佳織)
13. セーラー服と機関銃/嵐山小夜子(あらし) (CV:白石涼子)

 

ベタでもありつつ時折ドヤ顔で捻ってくる感じが若干ムカつきますね…。でもこの手のアルバムらしくオーソドックスな選曲。内容も正直どうってことないです。でも10「ハイスクール・ララバイ」は結構いいですよ。この曲って打ち込みこんなに高圧的でしたっけ。杉田智和の歌唱も何故か年寄り臭く切迫した感じで、本曲のコミックっぷりを揶揄しているような印象すら受けます。イントロの乾ききったドラムスが割と最高。

こういったアニメのサントラで歌謡曲のカバーなんぞ聴いてると、BPMを高めにいじくってたり生楽器のところを悪びれずシンセで安く再現してたりするじゃないですか。こういうのって「商業futurefunk」とかなんとか呼称付けられませんかね。futurefunk系の系譜台無しになる呼称ですが。大体が期待を越えてこない、でも偶然見つけると聴いてしまう、そんな手垢の付きまくったカバー集‥。

https://youtu.be/QuVqBE_8qm0

生天目仁美「みずいろの雨」


f:id:rikimikiri:20190610192710j:image

「With You vol.4」(1991)

ブックオフ国立店にて108円で購入。発見したときブチ上がりましたね、「え、マックのCD!?」と。マクドナルドの店内BGMかなにかが聴けると思い嬉々として即買いしました。帰宅後調べてみるとマクドナルドでやっていたスクラッチキャンペーンの賞品らしく、当時のCMも発見しました。最高…。

https://youtu.be/3MgfYxwebY8

マクドナルド マックCDチャンス」

 

しかしながら内容は大したことないです。単なる洋楽コンピでした。ハートとかMCハマーとか。川平慈英?のブリッヂMCなんかが申し訳程度に入ってるんですが、オマケにもならんですね。強いて言うなら、私は洋楽に疎いので当時のヒットチャート的なものを体感するのにはまあまあなコンピかと…。どっちかというとマクドナルドのロゴが入ったノベルティCDという自己満足の仕方をしております。108円だしね。

f:id:rikimikiri:20190615101256j:image

裏ジャケのために買ったようなもの。会社のコピーとして「だから…」ってソレどうなのよ。

本シリーズの中には日本の歌謡曲コンピもあるそうなのでお持ちの方はぜひぜひご一報ください。


f:id:rikimikiri:20190615101802j:image

ギリギリ・ガールズ「KISS ME」(1993)

ディスクユニオン新宿にて680円?で購入。ギリギリ・ガールズは、バブル前後に蔓延していたセクシーアイドルグループの一派ですね。C.C.ガールズ(本稿で二回も登場してしまった)とかT-BACKSとか、その辺。主にギルガメッシュないと辺りに出演してたようです。メンバーの一人である吉野美佳ミスチル桜井の元嫁(桜井の略奪婚みたいすね)。その他のメンバーも一般人と結婚したりAV出たりと万別。

f:id:rikimikiri:20190615102645j:image

そんなゴシップは本来どうでもいいのですが、この手のアイドルグループに関しては気にしてしまうんですよね。

肝心のアルバムですが、ブックレットにピンナップが付いてたりオマケにケース大のステッカーが三枚も付属してたりと結構豪華。macとか持ってたら是非貼りたかったです。視姦かよ。

f:id:rikimikiri:20190615102941j:image

内容は地味めなバブリー。しっかりブラコンしていて耳に幸せですが歌詞が演歌ぽいんですよね。特に1「キスミー・トーキョー」なんかは「暗闇坂」とか「青年してます」とか、マジでどういうセンス?でも人目を忍んでヘビロテしてしまう…。

https://youtu.be/4C99q1BUCI8

ギリギリ・ガールズ「キスミー・トーキョー」

 

青田典子が在籍していたC.C.ガールズはCDやVHSが比較的手に入れやすいのですが、その他のセクシーアイドルグループのグッズは結構価格が高等していて(間違いなくゲテモノ扱い)中々手が届きません。8cmシングルでも2000円はザラなのです。しかしまぁ、ミニアルバムとはいえこの手のブツを安価で獲得できて良かったです。オススメは一切いたしません。

昨今はアイドルのセルフプロデュースが当たり前になってきていると思うのですが、バブリーアイドル系は究極的にそれらの方向性とは逆・裏で、自我のないパフォーマンス集団という印象があるんですよね。それが「良い」という訳でもないんですが、ただアイドルが偶像や塀越しのレプリカントとしてアプローチしようとするのであればバブリーアイドルという方向性はある種最も簡便な手段だったんだなぁ、と当たり前なことに感慨を抱かざるを得ません。奥村チヨの頃から連綿と使われてきたこの手法が今あんまり見受けられないというのは寂しくありますが、そう思うならコンビニのエロ本もガンガン応援しなきゃいけなくなるのであくまで細々とディグっていきたく思います。

 

先日伺った、新宿du cafeにて開催された柴崎氏のイベント「出張!CDさん太郎」で「こういうの(氏がディグるCDの数々)、ハズレばっかですよ笑」と仰っていたのを直に聞き、まだまだ自分は守りに入ってるなぁと思いました。本稿で紹介したCDなんかもなんだかんだ私的には当たりですし、そもそも「これは満足いく内容だろうな」ってジャケのモノしか買わないので…。折角究極の解放区である図書館でもディグっているので、もう少し冒険していく姿勢も必要だなぁとしみじみ思いました。そもそも借りたり買ったりしたCDを積みっぱなしにするなよという自戒も別にありますが…。

後は、1つのコラムで1つのCDを紹介するメインの記事よりはこういうまとめ記事の方が書きやすいので、今後はこちらをメインにするかもしれません。あーでもひっそり予告していたビリー・バンバンの記事はきちんと仕上げたいですね。以上です。長々とすみませんでした~。


f:id:rikimikiri:20190615105842j:image

柴崎氏がアロエを紹介してくださってて嬉しかった、の図

番外編 「バブリースケバン」ジャケの世界


f:id:rikimikiri:20190401210428j:image

先日、前に駿河屋で買った「ワッツイン!」という90年代J-POP専門誌(恐らく当時の中高生向けのつくり)をザッピング読みしてたところ、↑のような特集記事を見つけました。「ガールズロックのすすめ」。当時はプリプリだのピンクサファイアだの、ガールズロック全盛期でしたもんね。それにしても凄い挿画ですよねこれ、近年のサブカル女子を馬鹿にする数多の図に匹敵するむず痒さです。右端で「ガールズロック主流派」と表現されているスタイルは正にプリンセス・プリンセスに代表される様式です。その左2つ隣は当時のオリーブ女子との掛け合わせでしょうか。いずれもガールズロック前史、つまり「女性歌手=アイドル」という観念しか存在し得なかった頃から一歩抜け出た、当時からすれば稀有なイメージだったのでしょう。きらびやかな衣装で熱い恋模様をロックかつポップに歌い上げる彼女たちは、バンドブームでもあった当時のギョーカイにおける花形だった、とちっとも世代でない私にも容易に想像できます。

それはそれとして、↑の図でちっちゃく描かれているスタイルにご注目ください。いずれも前史における男による不良ロック様式をそのまま女性に当てはめただけの短絡的な風貌。「オンナにもロックできちゃうんだぜ!舐めんなよ!」感。明らかに一ジャンルとして自立していた「ガールズロック」とは異質の存在です。古いところでは「ボヘミアン」でお馴染み葛城ユキだったり、「ちょっとワルい娘」としての中森明菜、そしてメタルクイーンこと浜田麻里だったりがこの界隈なのかもしれません。このようなジャンル、名前がありませんので便宜上誠に勝手ながら「バブリースケバン」と呼ばせていただきます。

バブリースケバンというジャンルも廃サロン的スポットで掘ってみるとゴロゴロ見つかります。私も結構好きで集めているんですが、そのサウンドや歌詞、歌唱法は大体どれも似たり寄ったりです(久宝留理子「男」「早くしてよ」に代表される「男なんて優柔不断でじれったいわ」に尽きてしまう内容)。では何が好きなのかと言うと、ズバリジャケ写です。ジャケの様式もそんなにアーティストやアルバムによって差異のあるものでもないのですが、若さを拗らせ「キッ」とこちらを睨み付けるスケバン風の女の子がデンと写されたジャケの数々は中々見ごたえがあります(淫靡と言えば差別的ですが、まあそういうことです)。内容が似たり寄ったりなのは「退屈」なんですが、ジャケの方法論が一ジャンルでなんとなく統一されているのには「様式美」を感じてしまいます。そこで今回は番外編として(番外編ばっかりで申し訳ない)、「ガールズロック」からはみ出した「バブリースケバン」のジャケを、私のコレクションの中から幾つか観賞していきましょう。サウンドについてはあんまり触れませんがYouTubeのURLは載せていきますのでそちらをご参照くださいませ。


f:id:rikimikiri:20190410195818j:image

須藤和美「Be Earth」(1990)

金沢旅行の際にレコ屋にて680円くらい?で入手。バブリースケバン盤を集めるようになったきっかけのアルバムでもあります。

須藤は1985年に資生堂主宰のイメージガールコンテスト参加を切欠にTBS系「モモコクラブ」のレギュラーとしてスカウト。その頃日本コロムビアにスカウトされ歌手デビューとなった経歴を持ちます。最初はアイドル路線だったようですね。本作はそんな彼女の2ndです。

それはともかく、如何でしょう。このジャケ。茶褐色のソバージュヘアを携えこちらにガンをつける姿。オレンジのニット生地かなにかに纏われ表情の全貌は写されていませんが、バブリースケバンジャケの要件は充分満たされています。そして彼女の上方に鎮座するピクセル気味の地球。「BE EARTH」の文字はヘビメタやデスノートを彷彿とさせます。一瞥したところで流してしまいがちなジャケですが、パーツ各々を検証してみるとなかなかに珍ジャケだと感じさせられます。また本作、ジャケよりもブックレットのアートワークがヤバいです。

f:id:rikimikiri:20190411082710j:image

このように、CG勃興期というかビデオドラッグというか、エスニック色にイッちゃってるアートワークが楽しめます。「僕らの地球があぶない!」。こういう作品こそ物を所有している喜びがありますね。 

内容ですが、作詞は全作松井五郎が担当。おなじみのヒネクレ歌謡曲ぶりを披露してくれていますが、どの楽曲もタイトルほどのインパクトがなく、アルバムとしてのスタミナに欠ける印象です。ちなみに曲目↓

 

1 冬のないジャパン
2 Newsholicの悲劇
3 ジャンプ
4 ギヴ・ミー・ラヴ…ママ
5 ヒールを履いた薔薇
6 …絶句
7 だ・さ・い
8 派手にやってよ!!
9 気絶するまでパープル
10 ノー・メイク

 

でも須藤のハスキーボイス具合は中々いいですよ。本作以後、彼女は須藤あきらと改名しバブリースケバン道を邁進していくのですが、その前哨戦としての予感を感じさせるようなアルバムでございます。

https://youtu.be/USfN76Mgoes

須藤和美「あきれた夜のジッパー」

本作の音源がYouTubeになかったので、前作「Help」から一曲お聴きください。こちらも松井五郎作詞。

それにしても須藤、イラストレーターのべつやくれいにそっくりですね…。アルバム云々よりもそっちが気になって仕方ありません。


f:id:rikimikiri:20190411084024j:image

黒沢律子「Real」(1990)

こちらは目黒の図書館にて獲得。アルバム枚数は界隈の中ではそこそこ多い方な割に情報の少ない黒沢律子のアルバムです。どうですか、この王道感。黒地の上部にはルージュでの殴り書きのような「Real」の文字。下部ではライダース?をひょいと肩に掛けつつこちらにガンつける黒沢。意匠を全く感じ得ない、しかしアルバムや彼女のキャラクターを想像せよと言われれば一直線に伝わってくる「正しい」アートワークだと思います。「Be Earth」よりもこちらの方がバブリースケバン然としていて入門盤(なんのこっちゃ)としてはオススメです。

ただ、肝心の内容は特にハードロック歌謡という訳ではなく極めてディスコティックです。荻野目ちゃんとかMAXの方々とかを、フックなく聴き流させる程度に薄めたような。歌がお上手なだけに凡庸な作品となってしまっています。音色のバブリー感は抜群なので悪くないんですけどね…。

https://youtu.be/Yb9KqhYD7o0

黒沢律子「純哀」

PVありました。イントロ然り舞台しかり、完全にマイケルの「Bad」じゃん。


f:id:rikimikiri:20190429175126j:image

斉藤さおり「Loose」(1990)

なんかここまで全部1990年の作品ですね。いや特に縛ってないんですが。バブリースケバンの中で私が一番好きなアーティストである斉藤さおりのアルバムです。こちらもまた目黒の図書館にて音源入手。

斉藤は1984年にミスセブンティーンにて準グランプリを受賞したことを期に芸能界入りし、その後は暫くソロで歌手活動。1993年には麻倉晶と改名し、1996年にはデジロックバンドのRomanticModeにボーカルとして参加。バンドのデビュー曲「DREAMS」はテレビアニメ『機動戦士ガンダムX』のOPテーマとしてオリコン初登場10位とヒットしました。バンドの解散後はライブを中心に現在まで精力的に活動しているようです。RomanticModeも世紀末におけるJ-POPバンドとして語りたいポイントの多いバンドなんですが、今回は関係ないのでパスします。

アートワーク、決してバブリースケバンとしてはベタな作りではないんですが「バブリースケバンってこういうのだよ」と説明しやすいインパクトがありますね。ケバいメイクでソバージュ気味の女が黒いドレスを纏いガニ股で佇んでいる。立ち塞がっているような、品定めをされているような…。スケバンを通り越してバブリー娼婦盤とすら言い得るものがあります。シンプルなだけに斉藤の姿が全てを物語っていて明快なジャケになっていると思います。

内容も基本的にはバブリースケバンしています。ギターの歪み具合が毎度毎度ちょうどよく商業的で、ドスの効いた(しかし何故か都会的な)斉藤の歌声に素晴らしく絡み付きます。表題曲の役割を果たす7「Loose you」はギミック無しの王道バブリースケバン楽曲となっています。

https://youtu.be/6F1TDJ7IZU8

斉藤さおり「サソリスト

シングルカットされた4「サソリスト」も、タイトルからもう良いですよね。本作のジャケの斉藤=蠍というイメージは合点が行くというか、毒だよなぁというか、やっぱり本作はバブリー娼婦盤だったかもしれません。


f:id:rikimikiri:20190429182253j:image

木村恵子「M」(1990)

またもや1990。トレンディ歌謡界隈ではどメジャーである木村恵子のラストアルバムです。1988年のデビューに際して発表した1stアルバム「STYLE」が有名で、2017年にはレコードで再発されました。鈴木茂松本隆湯川れい子杉真理門あさ美等が参加した豪華盤であり、ボサノヴァ、ソウル、メロウ、そして歌謡曲のエッセンスが軽やかに混ぜ合わされた名盤です。そちらについては「ラグジュアリー歌謡」をはじめ様々なメディアで触れられておりますのでそちらをお読みいただくのがよろしいかと思います。

対して本作「M」は「ファンキーに倒錯」という主題が伺える、トレンディ盤とは中々言いがたいアルバムとなっております。木村の持ち味であるコケティッシュボイスが影を潜め「ややハスキー気味なお姉さん」くらいの凡庸度に留まってしまっているのは本作品ならではか。それでも2「Yな関係」(短めのイントロがドリフの早口言葉のアレにしか聴こえない)ではファンク歌謡、4「好きになってゴメンネ」ではカリビアン歌謡、といった具合に、アートワークから可能な範疇の予想を上回る多彩な楽曲で飾り立てられたアルバムとなっております。ガールズロックの「ガ」の字もありません(サウンドが想定通りと言えるのは8「ないものねだり」くらい)。フックは少ないもののまあまあ良作です、が木村の作品を聴くなら間違いなく他の三枚のいずれからかにした方がいいです。

ジャケは立派なバブリースケバンとして成立してるんですけどね。不穏なオーラを放つ空間の中少女趣味全開のオブジェクトに囲まれ挑発してくる木村。左の欧米人女性、特に誰でもないみたいです。ユニットアルバムなんかでもありません。そして中心に血痕で縁取られた「M」。ちゃちに作られたゴシックパンクモノか何かに見紛わらせる要素ばかりです。内容からいえば本稿で取り上げるべきでないアルバムですが、あくまでアートワークについての回なので触れておきました。とりあえず木村恵子を未聴の方は「STYLE」を聴きましょう。

f:id:rikimikiri:20190506150951j:image

木村恵子「STYLE」

 

と、まぁこのようなアートワークを持つアルバムを私は「バブリースケバン」というジャンルで呼ぶことに致しました。ジャケの粗雑さ・有象無象さから割と投げ売りされていることも多いので、ご興味のある方は収集してみては如何でしょうか。

…後、斉藤さおりの部分で触れた「バブリー娼婦盤」の方が腐るほどありそうですね。そちらも機会があればコラムにしたいと思います。

 

第8回 彩裕季「Heartstrings」


f:id:rikimikiri:20190328193311j:image

彩裕季「Heartstrings」

ポリドール POCH-1274

 

今回ご紹介するアルバムは、言うなれば「玉虫色、またはカメレオン柄に飾り立てられたアルバム」です。軽く流し聴くと単調な作集にも思えるのですが、聴く角度や曲ごとのアレンジによって幾つもの異なる印象が立ち表れてくる。その印象たちはいずれも「どこかで聴いたことあるな」に繋がってしまうのですが。しかし文化とは「唯一無二」であることばかりを重んじていればいいものでもありません。(それが意図的でなくても、)受け手の持つ価値観によって多様な印象を柔軟に与えてくれ、かつ様々な「既存」を想起させてくれることでそれがある種の安心感にも繋がる…。「ありきたり」がいけないのではなく、「ひとつのありきたり」しか与えてくれないものが「つまらなさ」を産み出すのです…。はて、私は何に対して憤っているのでしょう。

要するに、今回のレビューでは「…に似てる」が連発されるのでご了承を、ということを言いたかったのです。

 

彩裕季(あや ゆき)、彼女は80年代海岸系シティ歌謡界の超メジャー歌手である今井優子を姉に持つシンガーです。姉が角松敏生プロデュースの元でバリバリのシティポップ・ディーヴァとして活動したのに対し、彩は今一つ地味な印象を受けます。リリースしたアルバムはたったの二枚。しかもシティポップに傾倒していた訳でもなく、純真無垢な歌謡曲路線。フューチャーファンクのネタに使えそうな持ち曲はゼロです。ただ、その透き通るような、しかし確かな重み・温もりを感じさせる歌声は必聴モノです。彼女自体の印象は、同時期のアーティストで言うと辛島美登里なんかに近いかもしれませんね。しかしこの印象は、本作の中でもコロコロと移り変わっていくのです。

本作はだいぶ前に新宿ブックオフの280円コーナーで発掘したんだったと思います。ピンクのイメージの中で女性がアンニュイに佇んでいるジャケが気になり検索すると、(前述の通り)当時anoutaさんの「トレンディ歌謡に抱かれて」の影響でハマってきていた今井優子の妹のアルバムだと!割と運命感じましたよね。

 

さて内容ですが、まず参加陣の豪華さよ…!歌謡界の御大である来生たかお来生えつこの来生夫妻をはじめ、瀬尾一三もアレンジで一曲のみ参加、そして何よりこっちでも角松敏生が作詞・作曲で二曲参加しております(検索かけるまで気づかなかった)。しかしアルバム全体を通して、跳び跳ねるような激しいアレンジは皆無。しっとりと聴かせるThe歌謡曲に傾倒しきっています。ただそこには特定の時代感がなく、いや2000年代以前であることは分かりきって聴けるのですが、いかにも「90年代の産物だ」というような確固たる特徴がでしゃばってきません。アップビート系の曲が無いからでしょうか。ともかく良くも悪くも、単に一度聴いただけでは淡々としたアルバムに感じられます。フックに欠けるというか地味~な印象。しかし二度、三度と聴くうちに幾つかのポイントで「あれ、この感じ何かに似てる…」となってきますでしょう。

まずは声ですね。前述したような特徴を持つ彩の声は「風の谷のナウシカ」のナウシカ役やアニメ版「めぞん一刻」の音無響子役で広く知られる声優界のベテラン、島本須美にかなり近いのです。そりゃあそういうシルキー系統の声でディスコテイックな曲は難しいでしょうに、と特定の方々には想像していただけるかと思います。島本の声がなんとなく分かる方に「島本須美が90年代に出してたトレンディ・メロウのアルバムだよ」と騙し聴かせても恐らくバレないんじゃないか、という自信さえあります。80-90年代の日本アニメーション発展の一助を担ってきた彼女の声に近い、という要素は深掘りしていくと面白そうですね。そういうコラムではないのでやりませんけど。

(島本須美にもトレンディ期のアルバムがあるんですよねー、どうにもオーガニック過ぎて個人的にはそこまでなんですがどっかで触れたい)

次は「何かに似てる」の曲調編です。まず6「さよならを巻き戻して」ですが、イントロのシンセリフで何かを連想させます。さらにサビのコーラスによるダブルヴォイスの淡々と、かつ優しく切ないメロウな感じ。これ、完全にあみんの「待つわ」じゃん!女性デュオによる泣き歌として殿堂入りを果たしている感のある「待つわ」ですが、こちらはそれよりも若干大人の恋愛感情を、わりかし軽やかに詞・曲・声で描きあげています。YouTubeに上がっていないのでお聞かせできないのが無念でなりませんが、本作をゲットした暁には是非この「あみん感」を味わってみてください。

また、本作を締めくくる9「Will you wait for me」(こちらが角松敏生の作品ですね)、この導入のエレクトーン的シンセのフレーズ、そっと刻み始めるパーカッション、正にメロウと言って差し支えない完璧な美しさを携えています。ただ、この導入部がどうにも90年代のcocteau twinsに聴こえてならない…!「あれ、cocteau twinsがバックバンドやってるのか」ってなります。イギリスのインディーズレーベル、4ADの看板バンドであったcocteau twins。80年代には歪んだギターとエリザベス・フレイザーの魔女がかったボーカルが特徴であったのに対し、90年代には若干ポップでアンビエント的アプローチの楽曲が多くなり、そのような作風を詰め込んだ「Heaven or Las vegas」は彼女達の代表作となりました。そんな当時のcocteau twinsのイントロの作風に、本曲の導入部が酷似。角松やアレンジャーの小林信吾(トレンディ界隈の頻出人物)が何を思ってこのようなイントロにしたかは定かでありませんが、時代的なもんなんでしょうか。もちろん本編も最高です。メロウな味わいを最後まで保ちつつ、夢心地のままにアルバムを締めてくれる、これほどラストに相応しい楽曲というのも珍しいのではなかろうか、という作品になっております。

https://youtu.be/EJPjoFOuJmE

 

cocteau twins「Oil of angels」

cocteau twinsの方しかYouTubeに上がってませんでした…。この曲のイントロがマジで似てます。

 

いい加減YouTubeに上がってる本作の曲についても触れておきましょうかね。6「鳴らないベルに揺れる夜」が、本作で唯一YouTubeにアップされている曲です。こちらでは彩も作詞に参加し、アルバムの調和を乱さずにメロウ歌謡してくれています。しかし悪く言うとどうにも演歌っぽいような…、タイトルも国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」に似てるし…あ、また「似てる」が登場してしまいました。当時のドラマ挿入歌のコンピに紛れ込んでても騙し通せそう。穿って聴かなきゃ結構いい曲なんですけどね。

https://youtu.be/dieKfuFb5Ok

「鳴らないベルに揺れる夜」

 

性格上、(興味のアリナシは別として)姉妹で似たような活動をしている場合、注目度の薄い方に良さを見いだそうとしてしまいます。広瀬姉妹だったらアリスに、有村姉妹なら藍里に(二つの例が酷似し過ぎててすみません)。本件についても、今井優子が近年にも新作を発表し界隈に愛されていることを考えると、私が見つめるべきは彩の方なのかなと勝手ながら思ってしまいます。今井がシティポップ縛りのクラブイベントでかかる夜に、ひとり静かに本作を聴くような人間でいたいものです。あ、今井優子も最高なんですよ一応。そちらに関してはネットのシーサイドに情報が転がりまくってるのでそちらを是非。

ともかく本盤、隠れに隠れた90年代メロウ歌謡としてお勧め致します。皆様の元に届きますように…

 


f:id:rikimikiri:20190407205339j:image

今井優子「殺したいほどTonight」

anoutaさんが本作をレビューしてたのが全ての始まりです…!トレンディ歌謡の最高傑作なのでこちらもご贔屓に。

http://ur0.biz/Z3Hn

トレンディ歌謡に抱かれて 第5回:今井優子「殺したいほどTONIGHT」

第7回 WINK「Para Para Wink !」

ご存知の方も多いかと思いますが、WINKが今年で結成30周年だそうです。相田翔子鈴木早智子により1989年に結成されて以降、「淋しい熱帯魚」「愛が止まらない~turn it into love~」を始めとする大ヒット曲を次々連発したWINK。主にハイエナジー調にアレンジされた洋楽カバーをアイドルが歌うという、古典的なやり口ながら王道の縁石を進むようなプロジェクトでした。また、歌唱中殆ど笑顔を見せない等のコンセプチュアルなアイドル像でも注目を集めました。しかしながら1996年に活動休止、その後未だに「解散」はせず今年の30周年を迎えました。昨年は歌番組で一夜限りの再結成を果たしお茶の間を驚かせたのが記憶に新しいかと思います。

余談ですが、私のWINKとの出会いは幼少期に鈴木早智子がセクシーDVDに出演したニュースを見て、なんですよね…。その時はWINKというアイドルデュオのサイズ感を知らなかったので「ふーん」位にしか思いませんでしたが、今思うと中々のニュースでしたよね、あれ。そんなことは今回どうでもいいんですが。

ともかく、WINKは結成30周年という節目を迎え再注目を集めております。Vaporwave界隈からも重宝されており、しばしばFuturefunkトラックのサンプリングネタに使われています。つい先日には、Futurefunkトラックメイカーの大御所であるNightTempo氏がWINKの楽曲を公式にアレンジしたEP「Wink- Night Tempo presents ザ・昭和グルーヴ」を発表し「世界初のオフィシャル公認のFuturefunk」として話題となりました。以下のリンクから聴けますので是非。ある種「妥当」なアレンジですが良くできてるなぁと思いました。原曲の完成度の高さが浮き彫りになるリミックスになっていて素晴らしいです。

https://open.spotify.com/album/11cN7Rtq2oIVeMnfEqErur?si=t3P6z8E7Q56UBkrNLuMWDQ

 

さて、長々と導入を書いてしまいましたが本題へと参りましょう。

f:id:rikimikiri:20190425083036j:image

WINK「Para Para Wink!」

fameba! / PSCR-5880

私が(新参な今のところ)一番好きなWINKのアルバムがこれです。2年前位に代官山の蔦屋書店のレンタルCDコーナーで発掘しました。初めて聴いたWINKのアルバムでもあります。まずすごいジャケですよね…。洋モノチックというか、こういうイラストを見ると叶姉妹が海外で発表したアニメの作画を思い出してしまいます。

ご覧になってお分かりかと思いますが、こちら、WINKの楽曲をパラパラトラックにアレンジしたアルバムでございます。↑のNightTempo氏の作品もそうでしたが、こちらも原曲のトラックを元に制作されています。元々WINK自体がハイエナジー・Jユーロなので、それを更にユーロビートアレンジするというプロジェクトには色々思うところがありますね。「マシマシ」であり「味濃いめ」であり…。「アイドルソング」を深化させたジャンルで作品を作り上げてきたWINKのリミックスとは、どこぞのアイドルのリミックスと意味合いが違ってくるのです。

ジャケ及びコンセプトからなんとも取っ付きにくそうな本作ですが、これが聴いてみると最高傑作。楽曲自体の素晴らしさは原曲を聴けば分かるので割愛しますが、パラパラアレンジによりそれらに秘められている狂暴性がドーピングの如く高められています。原曲のWINKはマネキン・ドールに例えられることがありますが、本作の二人は汗だくで絶唱してます。確実に。一度アレンジ版のトラックにのめり込んでしまうと原曲に戻ったときに若干の物足りなさを感じてしまうほどのBPMの高さ・音圧の暴力性。ユーロビートってそういうものなんですが「音楽に気持ちよい程度に殴られている」という印象すら受けます。

淋しい熱帯魚」や「愛が止まらない~turn it into love~」のアレンジも(あくまでユーロビートとして)卓越していますが、「夏のトレモロ」「sexy music」「トゥインクルトゥインクル」といったライトファン以上が有り難がる楽曲も選曲されていて、その何れもがこれまた秀逸です。「泣きメロ」なんて言葉を使うのはこっ恥ずかしいですが、そう言わざるを得ないものがあります。しかし確実に踊れそうな仕様になっているという。いや、本作でギャルが踊ってる姿はなんか見たくないですね。聴き惚れる類のトランスです。オッサン向けでなく、かといってギャルトラでもない、なんとも不安定なアルバムだと思います。リリースが2000年なので第二次パラパラブームの多少前の作品であり、ますます「何故コレが出たのか」が非常に気になるところ。

 

WINKは本作以外にもリミックス作品を幾つかリリースしていますが、大体がハウスミックスで正直つまらない出来になってしまっています。一方こちらはその狂暴性から飛び道具のように使うこともできそう(?)で、今現代に聴くにも耐えうるアルバムだと個人的には思います。やはりジャンル的に古くささは拭えませんが、WINKという世紀末アイドルの持っていたディストピア・スターとしての狂気を浮き立たせるには格好の手法でありましょう。なんかWINKって「終末」のイメージが付きまとっていて(短命だったのもあるんでしょうか)、それがなんとも似合うんですよね。だからこそ良くも悪くもアイドル感が薄いというか。

改めて本作をきちんと聴きなおして、WINKのオリジナルアルバムの方にも真面目に手を出していこうと思いました。最後にソレかよって感じですが、アレンジ盤から聴き始めるのって良くないですよね。すみませんでした。皆さんは最後にここに辿り着いてくださるとよろしいでしょう…。

 

https://youtu.be/Y652ZIZhtk4

WINK「夏のトレモロ

エスノ・サイケデリックWINKでお別れです。

第6.5回 浜田翔子「はましょー☆あるばむ~お手当てしましょーこ~」

急に被害妄想的になりますが、ディグにハズレは付き物です。といっても高額盤を直感で買うことはまずないので、残念感も弱いです。むしろ笑っちゃうくらいのハズレを引くと嬉しくなることもしばしば。いや、ハズレなんで全然聴きませんけどね。今回は番外編としてそんな「笑っちゃうくらいのハズレ」をご紹介します。なるべく悪意控えめな感じで。

 


f:id:rikimikiri:20190328011722j:image

浜田翔子「はましょー☆あるばむ~お手当てしましょーこ~」

GIRLS' PARTY

ここまでの情報からもうヤバいですよね。ほぼ無名のタレント、というかグラビアアイドルに近いタレントである浜田翔子(芸名がスレスレでアウツですよねぇ)が発表したカバーベスト。おニャン子クラブ界隈を中心に、森高千里Mi-ke等もカバーしております。ユーロビートアレンジで。

渋谷TSUTAYAでCD漁りをしていたところ本作を見つけました。どうやらユーロビートアレンジでアイドルソングをカバーしているらしい。ユーロビートはかつてのDommuneで放送された「ゆきゆきてユーロビート」という番組を視聴以来大好物なので、「これは珍盤を引けたか…?」と心踊らせましたが、見事に大ハズレ。そりゃそうなんですが、歌が絶望的におヘタ。なんかちょっと昔のアイドルが好きで歌が下手なギャル(そうとしか形容の仕方がない)とカラオケボックスに閉じ込められたような錯覚に陥ります。そういう気分に浸りたいギャル推しの方には最高かもしれませんね。あ、あとアレンジ自体は「2007年」って感じでなかなか悪くないんです。でも歌がね…。

カバー曲のラインナップはまあ素晴らしいです。ちょうどよいというか、安牌というか。以下の通り。

 

1.想い出の九十九里浜(Mi-ke)
2.素敵が始まる(オリジナル)
3.うしろゆびさされ組(うしろゆびさされ組)
4.セーラー服を脱がさないで(おニャン子クラブ)
5.気分爽快(森高千里)
6.デリケートに好きして(太田貴子)
7.バナナの涙(うしろゆびさされ組)
8.セーラー服を脱がさないで(remix)
9.素敵が始まる(remix)

 

 

YouTubeに一曲だけPV付きで上がってたので聴いていただきましょうか。スゴいっすよ。とりあえず変な合いの手とか入れんなよ。

https://youtu.be/JIdeDrMialE

「気分爽快」

 

とりあえず本作、割と中毒性は高いですがアタリかハズレかで言うとハズレでしょう。ですが「珍盤」としての魅力はピカイチ(死語)です。渋谷TSUTAYAにお立ち寄りの際は是非。

中級な収穫まとめ その1


f:id:rikimikiri:20190401210649j:image

図書館やブックオフなどの廃サロンから帰ると、自宅の一角に↑のようなスペースができてしまうのが悩みです。ここではそんな「死の山脈」における平野、つまり「一本のコラムにするほどでもないけれどなかなか良盤だったCD」を、最近入手したものを中心に軽盛りでご紹介致します。今回は目黒区の図書館と新宿のブックオフから。


f:id:rikimikiri:20190403221139j:image

「アニメホットウェーブ」

先ずはこちら。おなじみ目黒区の図書館にて入手。80-90年代のアニメの主題歌を集めたコンピです。アニソンのコンピは世の中に腐るほどありますが、これほど丁度いいものに出会うのは初めてでしたね…。

機動警察パトレイバー」の主題歌である、仁藤優子の「そのままの君でいて」から始まり、中原めいこの「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット(ダーディペア)」や太田貴子の「デリケートに好きして(魔法の天使クリィミーマミ)」、中村由真による「Dang Dang気になる(美味しんぼ)」など入り乱れ、杏里の「CAT’S EYE(CAT’S EYE)」で終幕…。それぞれのアニメのことは殆ど分からないのですが、いずれの楽曲もトレンディ歌謡としては語るまでもない大メジャーばかり。Futurefunkの元ネタとしても重宝されるダンスチューンで埋め尽くされています。

この時代のアニソンは歌謡曲との境目が曖昧で、キャッチーなものをとなると自ずとクラブ対応可なアレンジになりがちでした。大味なものも数多ありますが、本作の収録曲はいずれもパワーを感じますね。魔法少女モノやロボットモノなど作品の世界観に統一性がなく、飽きずに聴けるからでしょうか。

「Dang Dang気になる」は近年LPシングルが発売されたことでも知られており、いつか音源を手に入れておきたかったので、このような形で手に入って有り難かったです。「美味しんぼ」って近年だと当たり前に描かれる異常性に注目されがちですが、全盛期の世界観はかなりトレンディしてるように思います。だからこのような楽曲が唐突にOPに採用されててもあんまり違和感がないんでしょうね。

アニソンへの抵抗感を緩和させたいとお悩みの方(いますかね)なんかにはオススメのトレンディ俗コンピでしょう。

https://youtu.be/LmMiaXfdr8s

「DangDang気になる」

 

f:id:rikimikiri:20190403221206j:image

前川清「神戸」

こちらも目黒区図書館にて入手。ムード歌謡のプリンス(?)、前川清のベストです。前川は非常に息の長い歌手で、内山田洋とクール・ファイブのボーカリストとして「長崎は今日も雨だった」をヒットさせたのが1969年なんですね…。ちなみに「そして、神戸」が1972年で「東京砂漠」が1976年。いずれも「昭和のヒット曲」みたいなバラエティを観てると結構な頻度で写りますよね。若い方も一度は彼の歌声を聴いたことがあるのではないでしょうか。 

そして本ベストは当時の前川の最新シングル「神戸」を一等始めに、「そして、神戸」をラストに持ってきた、タイトルに恥じないアルバムとなっております。と言っても収録曲全てが神戸を舞台にしたものではありませんので、コンセプトベストという訳でもないようです。それにしても渚ゆう子における「京都」然り、ムード歌謡を歌う者として特定の地名への偏向があるのはなんかいいですよね。歌手としての世界観がバッチリ決まるというか。彼のビブラートのブルブル震える濃い歌声は、ギラギラと輝く神戸のネオンを反射する川面を連想させてくれます。演歌歌手やムード歌謡歌手のベストにありがちな大全集的な2枚組以上のベストじゃないのも聴きやすい。トレンディ盤としては無理がありますが、正当な「ムード」歌謡を聴きたいときにはうってつけではないでしょうか。

ちなみに私、本作からは殆ど「そして、神戸」しか聴いてません。だってやっぱり飛び抜けてるもの。あ、あとジャケはチョー格好いいと思います。

https://youtu.be/tuysPUKsTrY

「そして、神戸」


f:id:rikimikiri:20190403221229j:image

小泉今日子「KOIZUMI INDEX 100」

こちらは新宿ブックオフの200円コーナーにて入手。小泉今日子の楽曲(オリジナルアルバム収録曲ばかりですが)の導入部1分程度が100曲収録されています。正にインデックス。小泉今日子のガチファンには楽しく便利な作品かもですが、今ごろになって聴きはじめた私としては何これ状態。せめてノンストップMIXなんかになってれば使えるんでしょうがきちんと各曲毎にフェードアウトしてくださってます。いつ聴けばいいのこれ。調べてみると小泉のベストアルバムの初回特典だったみたいですね。

そういえばクラシックやジャズなんかでもこういったインデックスアルバムって存在しますよね。そちらも短時間でフェードアウトします。中学生の頃、ふとジャズってもんを聴きたくなって図書館で探したらそのテのベストを見つけ「こんなに沢山入ってるならこれ一枚借りればいいじゃん!」と喜び勇んで帰宅したら細切れの曲ばかりで騙された気持ちになったことを思い出しました…。

本作は図らずともそんな幼少期の些細なノスタルジー歓喜してくれる作品でありました(無理くりな終幕)。

 

f:id:rikimikiri:20190403221321j:image

東京ディズニーランド・ミュージックアルバム」

ディズニーランドのアトラクションやパーク内で聴こえてくる音楽・BGMを集めたコンピです。1998年の作品なので、現在は廃止されてしまったアトラクションの音楽なんかも聴けます。こちらも目黒区の図書館にて入手。

こちらはかつて存在したアトラクション「ミッキーマウスレビュー」の音楽が聴きたくてレンタルしました。覚えていらっしゃいますかね、ミッキーマウスレビュー。その名の通り、ミッキーが指揮する楽団がディズニー作品の名シーンを再現しつつサントラを奏でる、というアトラクション(というか人形ショー)でした。現在件のアトラクションは3Dメガネをかけて楽しむ「フィルハーマジック」に改修されてしまっています。類似アトラクションに「カントリーベアシアター」(こちらは現存しています)がございますが、私は何故かレビューの方に強い思い入れがありまして。今でもたまにYouTubeで動画を見てしまうんですよね。YouTubeを開かなくてもあのメドレーが聴けるのは有難いんですが、改めて「あの空間・(キャラクターを含めた)舞台装置ありき」だったんだなぁ、と至極当然のことを思ってしまいます。でもでも嬉しい。

あ、あとパーク内のさりげないBGMが少し収録されているのもアツいですね。記憶から抹消されていた筈のノスタルジーを喚起してくれます。というか遊園地の音って言い様のない高まりを与えてくれる。そこも含めて計算ずくの世界であるはずでしょうが、そこに呑まれてしまうのもまた良し。

https://youtu.be/dsPTwMkNCLQ

ミッキーマウス・レビュー(本編)」

 

f:id:rikimikiri:20190403221351j:image

O.S.T 名盤コレクション・スーパー・リミックス」

新宿ブックオフの8cmシングルコーナーにて108円でゲット。「ウルトラマンのうた」「モスラ・インファント島の娘」「眠狂四郎」がハウス風にリミックスされて収録されておりました。8cmシングルでサントラのリミックス盤がリリースされるなんで、「いい時代でしたね」としか言いようがないですね。各々、劇中からのサンプリングが多用されておりまあまあ面白いですが、大体のリミックス版がそうであるように何度も聴こうとは全然思えません。珍盤でDJやるような方は一枚持っておくといいんじゃないですかね、それにしては元ネタがありきたり過ぎますけど。


f:id:rikimikiri:20190403221509j:image

吉田弥生「エクシス」

新宿ブックオフ入り口あたりの、280円コーナーからすらハブられてしまった100円投げ売りコーナーにて入手。ジャケのエスニック・クソコラ感が結構気に入ってます。内容はインストで、雅楽で使用される管楽器、笙(しょう。お正月のNHKとかで「ファ~~~ァン!」って言ってるアレを出してる楽器です)とオルガンを組み合わせた「エクシス」という創作楽器のアルバムです。詳しいことは↓でご確認ください。

https://plaza.rakuten.co.jp/koutyou/diary/201001220004/

エクシスという楽器の音、ちょっと面白いんですよね。雅楽のあの感じよりは軽くて、パイプオルガンのようでいてそれよりはチープ。しかし、↑でチャルメラとの共通点が述べられていますがチャルメラよりかはまだ荘厳。手入れを怠ったハーモニカのような音でもあります。ま、そのような楽器でバッハの「アベマリア」やモーツアルトの「トルコ行進曲」、さらには世界のポップスまでもが演奏されているのが本作です(選曲によってチープ感が増してるような気もします)。

一番気になるのが、7曲目が「ビーマイベイビー」となっている点。本作の購入理由、この曲がCOMPLEXのアレかと思ったからなんですが、実際聴いてみるとどこにも布袋と吉川の鱗片を感じません。というかこれビーマイベイビーじゃなくない…?聴いたとき滅茶苦茶モヤモヤしました。

でも本稿で取り上げた中ではかなり名盤な方です。全編を通して高音がキツいのが難ですが、リラクゼーション力はなかなかだと思います。恐らく目撃頻度は最低でしょうが頑張ってお探しください。

 

以上、最近集めた中級盤のうち、聴き終えたものをザッとご紹介しました。また玉石混淆なディグが一段落したらこのような回も設けたいと思います。宜しくどうぞ。

第6回 ザ・マイクハナサーズ「ザ・マイクハナサーズBEST Ⅰ」


f:id:rikimikiri:20190329185236j:image

ザ・マイクハナサーズ「ザ・マイクハナサーズBEST Ⅰ 」

ソニー・ミュージックレコーズ 

 

音楽に対して捻れた感情を抱いていると、どうしてもどメジャーなアーティストや楽曲から目、というか耳を背ける癖が付きがちです。職場のラジオで、はたまた自宅のテレビで嫌がらせのようにかかりまくる大ヒット曲の数々にほとんどノイローゼ状態になったり…というのも日常茶飯事でしょう(いや自分の話ですが)。しかし、そのように不本意に聴く場合ではなく、「ふと」聴くことになった時、そのような楽曲に不思議なオーラがかかることもありましょう。クラブでDJがオフザケ半分でかけたJ-POPやカラオケで友人が歌う昭和歌謡。それらが状況・テンション次第で、それまでの自分からすればウソのようにドハマりすること、ご経験ありませんか…?あれは結構気持ちよいものですよね。なんかわざと世間から外れたつもりが実は除け者にされていた自分と、明るく光る「世間様」との邂逅のような。これからは時々遊ぶ関係になろうね、という。

 

本作は正にそんな経験がお手軽にできてしまう素晴らしくチャチなアルバムです。まず「ザ・マイクハナサーズ」って誰だよ。未だに分かりません。恐らく無名の歌手崩れたち、もしくはボーカルレッスンスタジオの先生や生徒の集団じゃないかと予想しております。

内容を端的に言ってしまいますと「昭和歌謡のどメジャーどころを知らん誰かさんたちがメドレーで歌ってくれるアルバム」です。モノマネって感じでもないんですが「癪に触らない程度にちょっと似せて」歌ってます。

最初は、彼らのシングルCDを新宿のブックオフにある8cmシングルコーナーで見つけたのが出会いでした。↓

f:id:rikimikiri:20190329191224j:image

ザ・マイクハナサーズ「二人でカンパイ!/いとしの海岸物語」

 

アートワークの無駄な統一感にある種の覚悟を感じますね。ファーストインプレッションは「安っぽいな~~~」というだけでしたが、108円という最低な値段に惹かれ購入。しかし意外や意外なことに割と良い。特にB面「いとしの海岸物語」が。お察しの方もいらっしゃるかもですが、これサザンのメドレーです。(というか、マイクハナサーズの曲のタイトルってこんな感じです。ヒット曲のタイトルぶつ切り&ジョイント。)私はずっとサザンのネオ・不良オヤジ感が大の苦手で、彼らの楽曲も殆ど知りませんでした。しかしこの曲で矢継ぎ早に、かつ半ば強引に捲し立てられるサザンフレーズを受け止めていると「なんか全体的に安っぽくていいなぁ」という思いが沸き起こってきました。声も無理やり桑田に似せてるんですが、普段興味なかった身からするとそっくり。こうして本物とちゃんと目を合わせることなく、なんとなくサザンと邂逅を果たした気になれたのでした。

よく「昔のPA売店には「流行曲をご本人でない誰かが歌うカセット」なんかが売られていた」という話を耳にしますが、感触としてはそれに近いのでしょう。ただアレのいかにも「騙して儲けてやろう」という印象がこちらからはそれほど感じられませんでした。どちらかというと「ダサい和モノ」というこざっぱりとした印象のみ。ニセはニセなんですが、可愛げがあるというか…。

 

で、本稿でご紹介する「~BEST Ⅰ」は世田谷区の図書館でレンタルしました。ほんと図書館って何でもあるな。とりあえず曲目を全て下に記しますね。

 

1.わたしたちどうするの (男女の痴話喧嘩がテーマの楽曲メドレー)
2.飾りじゃないのよ少女A (中森明菜メドレー)
3.なんてったって艶姿アイドル七変化(小泉今日子メドレー) 
4.メドレーびんびん物語(田原俊彦メドレー) 
5.聖子のウィンク(松田聖子メドレー)
6.ホンダラ・スーダラ行進曲(クレイジーキャッツメドレー) 
7.ハートのエースをみせないで(昭和アイドルグループメドレー) 
8.プレイバック・Part3(山口百恵メドレー) 
9.ブルー・シャトウを君だけに(GSメドレー) 
10.グラジュエーション・デイ(卒業ソングメドレー) 

 

馬鹿ですね~。怒りとか悲しみとか爆笑とか、そういったものの残骸としての虚無がここにある。3のごった煮感とか4の迷いのない感じは堪りません。

各メドレーについての詳細は「実際聴いていただいた方が圧倒的に面白い」ので省略しますが、それだとレビューにならないので軽く。2のアキナメドレーですが、「少女A」「1/2の神話」などお馴染みの楽曲の中にしれっと「liar」が紛れ込んでて驚いた。当時の最新作だっけか…?ボーカルはなんとなく艶っぽい人を呼んできたって感じですね。6はここに「クレイジーキャッツのメドレー」が入ってるって事実に意義があるだけで、正直曲としての意義は分からないですね…。植木等リバイバルの頃にリリースされた「スーダラ伝説」があるので、どうしてもその劣化版というか。声も植木ってよりハナ肇寄りで若干スベってる。「スーダラ外伝」の再解釈版と考えればアリ。8はニセ百恵がゴンドラにキレ始めててウケます。9は繋ぎでブルーシャトウに頼りすぎなのであのフレーズ聴き放題。

個人的には3が一番好きです。入りの「なんてったってアイドル」で「おっ、めちゃめちゃ似てるのでは…?」と思わせといて急激に似てなくなる。でもアップとスローの緩急がガタガタで逆にノレます。「艶姿ナミダ娘」の「ポコポコポンッ!」ってイントロの再現が丁寧。他のメドレーは結構長く感じるんですけどこれだけはあっという間に5分が過ぎますね。

https://youtu.be/jiLbNZ78nd4

小泉今日子艶姿ナミダ娘」

「ポコポコポンッ!」ってこれのことです。

 

本作、聴くというより歌う場面で重宝されてるらしく(そりゃそうなんですが)、YouTubeにもこれらを歌ってみた映像やカラオケビデオそのまま録画しただけみたいな映像しか上がってません。

冒頭で挙げたシングルのA面「二人でカンパイ!」はカラオケビデオにボーカル入りのものを重ねたものがあったので、恐縮ですがそちらをご覧下さい。

https://youtu.be/cyXnI2B82Cw

 

それにしても明確に「歌手」ってブランディングの成されていない人々の歌声を聴くの、なかなかよいですね。堺正章なんかが司会やってるカラオケ番組観るのはウンザリなのに…。「ドライブ用J-POPノンストップミックス!!!!」みたいなCD聴く層の気持ちもなんとなく分かるような分からんような。とにかくなんか優しい気持ちになれるアルバムとなっているのは間違いないかと思います。

 

後は、本作を手に入れて「メドレー」の効用についても考えてしまいました。メドレーって、複数の楽曲毎のサビや気持ちよいフレーズをザッピングしてるってことですよね。その快楽主義かつ刹那主義なところ、実は現代において逆に潔いというか美しいのではないでしょうか。「ザッピングそのもの」が作品になってるという現象、DJMIXとか「名著をマンガで読もう」とかもそうなんでありましょうが(後者は最悪ですけど)、最も昔ながらに我々に定着しているのはメドレーだったのだと。

現実、今日びカラオケでメドレーなんて歌ってる人なんて極僅かなんでしょうが、本作を聴いてみてメドレーを歌ってみたくなりました、私。皆様もカラオケにお越しの際は、ザ・マイクハナサーズのこともちょっと思い出してあげてください。私からは以上です。